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【コーディネーター通信】私たちは、こうなるんだぞ!

タイトルが、軽いように思われるむきもいらっしゃるんではないかと存じますが・・・。

 ジュネーブ・インターナショナルスクール(International School of Geneva)の、初等教育プログラム(PYP)の「PROGRAMME OF INQUIRY」(探求のプログラム)について、考えてみたいと思っておりました。今日は、ジュネーブ・インターナショナルスクール(International School of Geneva)の、初等教育プログラム(PYP)のセントラル・イデアについて考えてみようと思います。

 

ジュネーブ・インターナショナルスクールとは・・・

 

その前に、ここで簡単にジュネーブ・インターナショナルスクールについて説明したいと存じます。

 ジュネーブ・インターナショナルスクール(International School of Geneva)は、スイスのジュネーブ州にあるインターナショナルスクールで、1924年に国連ILOの職員によって設立された世界最初のインターナショナルスクールです。最初はたった8人の生徒と1羽のウサギだけでした。目的は、進歩的な教育理論に基づく教育を提供することでした。・・・そして、1968年には、英語とフランス語による、国際バカロレアのディプロマプログラムが、このジュネーブ・インターナショナルスクールのロバート・J・リーチ先生と他の教師たちによって、大部分が作られました。

「The birth of the first international school. The school opens on Sept 17th 1924, with just 8 students and a rabbit. Founded by local educators and by officials of the League of Nations and ILO, the purpose of the school was – and still is – to provide an international education based on the progressive educational principles of the éducation nouvelle movement.・・・・・The International Baccalaureate Diploma Programme (IB) in English and French is largely created by Robert J. Leach and other teachers at the International School of Geneva.」

(International School of Genevaの「Our history」より)

 現在は、La Grande Boissièe、La Châtaigneraie、Campus des Nationsの3つのキャンパスがありましてな、国際バカロレアのディプロマ・プログラムを1学年約300名が受講しております。

 つまり、国際バカロレアの教育の、文字通りの「牽引車」だったわけです。そして、いまでもそうです。

現在、ジュネーブ・インターナショナルスクールのディプロマ資格試験の合格率約95パーセントで、世界的に見て大変高いんです。ちなみに、世界平均は約80パーセントです。

 

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(International School of Genevaのホーム・ページより)

 

 また、生徒一人当たりの平均得点はやく34点で、これも世界的に見て大変高いんです。(世界平均は約30点)

 

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たとえば、キングズカレッジ・オブ・ロンドン大学は、ディプロマ・スコア36点あれば、無試験で入学できるわけですから、ジュネーブ・インターナショナルスクールの卒業生は、半分近くがキングズカレッジ・オブ・ロンドン大学に入学できるわけです。これは、すごいことですぞ。参考までに、オクスフォード大学は38点以上、ケンブリッジ大学は39点以上です。

 

 こうなると、気になるのは、同じIBのインターナショナルスクールでも、ドえらい違いがあるんじゃないかということですよね。どこに違いがあるかということですよね。私たちは、小学校ですからして、当然、初等教育プログラム(以下PYP)が気になりますな。

 そこで、ジュネーブ・インターナショナルスクールの等教育プログラム(PYP)の「PROGRAMME OF INQUIRY」(探求のプログラム)を分析してみようではありませんか。

 

分析の道具「観点」・・・「普遍性」

 

「分析」というと、何が必要でしょうか。徒手空拳で戦わんとする阿呆はおらんの同様、分析の「道具」を持たずに分析しようとする阿呆もおりません。まぁ顕微鏡だの試験官だのを使うわけではありませんが、どういう「観点」から見るのか、というPerspectiveだけははっきりしとかなければ、いけませんな。

 

 さて、その「観点」ですが、次のような「観点」を用いたいと考えます。

 その「観点」は、セントラル・イデアが「イデア」の名にふさわしく、「普遍性」を持っているかどうかという観点です。

 では、なぜ「普遍性」なのか。

今、IT技術やメディアの発達により、止まりを見せないグローバル化が進んでいます。家と学校とをただ往復しているだけでも、車のラジオから今日は中東、今日はアフリカや南米というように情報が飛び交っています。私は、それが嫌になると落語のCDを聞くことにしているんですが、最近は桂小楠師匠にハマってしまいまして、あの師匠、「子ども」をやらせると、うまいもんですな。特に「いかけや」や「てんしき」なんざ、最高でして・・・・。

え~、閑話休題。IT技術の進歩やグローバル化は、人間に恩恵をもたらしもしますが、たいへん面倒な「問題」も生み出していますぞ。そして、それらの新しい「問題」は一筋縄ではいかん問題ですぞ。これまでのように、細分化された知によっては太刀打ちできないでしょう。

そうした「問題」を、様々な知を結集し、まさに特定の知の枠組みを超えて、仲間とともに協働的に、解決の方法を見出していく智や能力が必要となります。

 そういう能力を培うプログラムが、「Theory of knowledge」、すなわち、「知の理論」をコアにしたディプロマ・プログラムです。ディプロマ・プログラムは、たいへん高い教科領域の知識も獲得するのですが、それとともに、こうした「知の有効性と限界」とを吟味しつつ、高い個別的な知識と、それらの知の枠を超えて問題解決を図る能力を高めるための「知の理論」も学ぶんです。

 さて、そこから翻って、PYPを見ると、「探究の単元」(UOI)のセントラル・イデアは、一つの教科、特定のトピックに偏ったものであっては、うまくないわけですな。ただ、当然のことですが、UOIを行うには、各教科の相当高いレベルの知識が必要です。二年生のUOIでは、流れる水の働き(理科・5年生相当)、地域の災害や事故とその防止(社会・3年4年相当国土の自然と産業(社会・5年)、雷と電気、電気の利用(理科・5年6年相当)、治水の歴史(社会・6年相当)、人々の生活を守り豊かにした人々(国語・5年6年相当)、そして、高い算数の能力が必要です。しかし、それだけでは十分ではなく、それらを用いて、たとえば、「人間は、自然の脅威を恩恵に変えることが出来る」といったセントラルアイデアに対して向かって、キー概念のConnectionや関連概念のLawなどを通して様々な探究を行い、最後に、「自然の脅威とは、自然の法則を人間がまだ認識していないところから生まれ、自然の法則を人間が自分たちの生活を豊かにするために、うまく作用されることである」といった知識を見つけることが必要になってきます。

 そのためには、セントラル・イデアは、特定の教科やトピックに偏したものであってはならないんです。それだと、ディプロマ・プログラムにうまくつながっていかんのですな。

 どうも、まわりっくどい説明になりましたが、こういうわけで、セントラル・イデアを分析する観点として「普遍性」を用いたいと存じます。

 

ジュネーブ・インターナショナルスクールのセントラル・イデアの分析・・・

 

ジュネーブ・インターナショナルのセントラル・イデアの分析に行く前に、他の(どこぞの・・・といっても国内ではありません)のインターナショナルスクールのセントラル・イデアを見てみましょう。「比較」という方法は、「分析」の第一歩でもありますので。

 その、どこぞのインターナショナルスクールの、二年生の、教科の枠を超えたテーマ「How the world works」のセントラル・イデアが、これです。

 

「Observing and experimenting allows understanding of the conservation and physical properties of matter.」。なんか訳しづらい文章ですな。「観察と実験は、事物の保護とその物質的な性質との理解を可能にする」とでも訳しましょうか。

 

 さあ、どうですか。このセントラル・イデアは、普遍的なものでしょうか、それとも、特定の教科やトピックに偏したものでしょうか。

 「Observing and experimenting」は、概念というよりも、こりゃ、「スキル」や「方法」ですな。また、「understanding of the conservation and physical properties of matter」も、物理学の方向に振りすぎているため、「教科の枠」超えたものとは言えませんぞ。これは、理科という教科の枠内の知識ですぞ。したがって、このセントラル・イデアは、「自然科学の方法」と「物性」や「保存」という自然科学内の知識や効果に「特殊化」されすぎていますぞ。そのため、「普遍的な知識」にはなりえてはおりません。

 

さて、いよいよジュネーブ・インターナショナルスクールの等教育プログラム(PYP)の「PROGRAMME OF INQUIRY」(探求のプログラム)のセントラル・イデアの分析といきましょう。

。次の表は7歳から8歳(日本の2年生に相当)の「PROGRAMME OF INQUIRY」(探求のプログラム)です。

 

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 では、教科の枠を超えたテーマの「How the world works」のCentral ideaである「Humans use their understanding to serve a variety of purpose.」の構造を見てみましょう。

 

 このCentral ideaは、「人間は~~」という全称命題で作られている。つまり、大変普遍性の高い命題ですぞ。次に「their understanding」や「a variety of purposes」も、個別的なものや特殊的なものを表してはおりませんぞ。その意味で、「全称的」であり、普遍的です。この点で、この命題は普遍的であり、理念的です。

 しかも、さらに、「understanding」や「purpose」自体がまた、「根本的概念」の意味で用いられる「範疇」のようなもんですので、もうこれは大変普遍的で根本的な概念です。大したもんですな。

 

 こうしたセントラル・イデアを用いて、かなり高い教科的な知識を動員したり、学んだりしながら、文字通り、「教科の枠を超えたテーマ」を考えているんですぞ。これが、ディプロマ・プログラムの学びに発展していくんですな。そうしたらもう、すごいことになってしまうんです。それが、ジュネーブ・インターナショナルスクールのすごさにつながっているんです。

 

 で、「私たち」開智望小学校ですが、世界一のジュネーブ・インターナショナルから学びつつ、いつか追い越してやろうと、抱負を高々と掲げて、踏ん張っています。

 

 

【コーディネーター通信】教科の枠を超えた探究のUNIT4が始まります。

二年生の探究を例にいたします。

 

ヒトは太古、火を恐れていたんでしょうな。「いたんでしょうな」というのは、考古学的に考証できませんので、こういうしかないのですが。そのころ、ヒトは自然の一部でしかなく、ヒト自身が、自分と自然とを区別していなかったでしょうな。自然の「気分」しだいによって、ヒトは生きもするし死にもする。そんなような存在だったでしょう。

山火事を見て、恐れおののき、山の噴火を見て、洞窟に逃げ込んでいたんでしょうな。

ところが、ある時、山火事で焼けた森林真中で、焼けた動物の肉を食したら、美味かったという体験や、偶然手に入れた火により暖をとることが出来たという体験などから、火の必要性を痛感していったのでしょう。

最初は、落雷や噴火などで起こった山火事から手に入れた火を大切に守って使っていたのでしょうな。おそらく強い風で揺れ、擦れあった木々の枝から火が起こったことなどを目撃し、実際に自分たちが木々の枝を擦って火を起こす方法を考え出していったんでしょうな。何世代もにわたり、たくさんの失敗をしながら、繰り返し、繰り返し試みたんでしょう。

そして、おそらく旧石器時代の早い時期には、火を使うようになっていたようです。

 火を使うことによってヒトの生活は一変したでしょうな。火を調理に使うようになり、暖を取るようになり、獣から身を守るのに使うようになり、それによりヒトは、どんどん増えていったでしょうな。ヒトの社会も以前とは違う形になったでしょうし、摂取する食事も変化したでしょうから、それに伴ってヒトの体も変わっていったことでしょう。いままで住むことが出来ないような寒冷地にも住むことが出来るようになり、大移動を容易にしたことでしょう。

 そして、暗黒の自然は、火によって照らされ、次第にその正体が捉えられるようになれました。ヒトは、自然を恐れ、火を恐れ、森の片隅でうずくまっている存在ではなくなりました。火によって科学を手にし、自然の支配者になることもできるようになったんでしょうな。

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こうして火に代表される知恵を手にしたヒトは、それを逆手に用いて、様々な分野で、自然の猛威を屈服させ、その猛威を利用し始めることになりますぞ。あたかも、荒れ狂う一つ目の海獣キクリプスを、奸計を用いて屈服させたオデッセイウスのように。

 そして、そのために科学は発展していきます。古代のエジプトでは、ナイル川の氾濫を予知し、ナイル川の猛威を人のために利用しようとする。そのためには、氾濫の時期を予知しなければならない。氾濫の時期と天体の運動には相関関係がある。自然の観察によってそこに気づいていた古代エジプト人たちは、天体の観測を開始しました。それは精緻を極め、天文学幾何学が発達していきました。

 

 18世紀半ば、アメリカでは、嵐の中で凧を挙げている一人の男がいました。ベンジャミン・フランクリンです。手元にはガラス瓶があり、内側には鎖がぶら下がり、その下端には金属の玉がぶら下がっていました。ライデン瓶です。人々が恐れおののく雷の正体を探究しているんです。そして、雷の電気にもプラスとマイナスがあることが発見され、それをもとに避雷針が発明され、人々の生活に安全をもたらしました。

 

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ベンジャミン・フランクリン

雷の正体は静電気であることが分かったんですが、この静電気は、科学の最先端の量子の実験で用いられる「加速器」や「はやぶさ」のイオン・エンジン、身近なところでは、自動車の塗装などに用いられ、私たちの生活と関わっています。

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加速器の内部

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筑波の高エネルギー加速器

 

 

 人類の歴史や、科学のような大げさな話だけではなく、もっと身近なことにも、目を移してみましょう。

 「雪」。豪雪地帯では、雪崩を発生させ、人々を家の中に閉じ込め、交通を遮断する「雪」。雪国の人々にとって、もう本当に嫌になる「雪」。私なぞ、雪国とはとてもいえない長野の生まれですが、「雪かき」は本当に嫌でした。早朝、雪かきをしたと思えは、もう、学校に行く頃は、雪が積もりまくっている。バスは遅れる、遅刻はする。・・・・

 その「雪」も性質を熟知することによって、逆に生活の糧として利用することが出来る。国の重要無形文化財になっている「小千谷縮」。夏の高級織物です。

 

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小千谷縮

 

これが、雪を利用しているんです。「縮」を雪にさらすと白く美しくなります。実は、漂白剤と同じくオゾンの効果なのですが、オゾン漂白剤とは違って生地を傷めないし、かえって強くすんです。それが、雪国のよく晴れた日、紫外線と行くとの相互作用で発生するんです。それを活用して「小千谷縮」を作っているんです。そういうことを、豪雪地帯で生活している北越魚沼市の人々は、経験から学び取っていたんですね。

 

北越雪譜」の作者の鈴木牧之は、小千谷の「縮」問屋の主人でもありました。

 

さて、こう考えていくと、「自然の脅威」を「恩恵」に変えていくためには、どんなことが必要かわかってきます。ただ恐れおののいていてもだめですし、己の運命を呪っているだけでもダメなんですね。「より豊かになりたい」「みんなの生活をすこしでもよくしよう」という強い願望、失敗を繰り返してもくじけない強い意志、観察・仮説・実験・記録・振り返りを生まずたゆまず繰り返していく計画性とスキル、そして、「実体」を明らかにしないとおさまらない科学的精神。こういう「知識」を探究を通して獲得出来たら、それは、将来、たいへん意義のあるものになるでしょう。

 

こういうことを探究するには、Form Causation Reflectionという「概念」を用いる必要があります。参考までにそれぞれがどのようなものなのかを、Making the PYP happenから引用いたします。

 

Form・・・形体

Key concept question・・・What is it like?

これはどのようなものか?(外観)

Definition ・・・The understanding that everything has a form with recognizable features that can be observed, identified, described and categorized.

一切のものは、観察され、認識され、その特徴を説明され、分類されうるような、見てわかる特徴をもった一つの形態を持っているという了解。

Rationale・・・This concept was selected because the ability to observe, identify, describe and categorize is fundamental to human learning within and across all disciplines.

この概念は次のような理由で選ばれた。観察し、認識し、説明し(特徴を述べ)、分類する能力は、すべての教科の内にあると同時に教科を横断する、人間の学びの基礎であるということから、この概念を取り上げた。

Causation・・・因果関係

Key concept question・・・Why is it like it is?

   なぜ、これはこのようなものなのか?

Definition ・・・The understanding that things do not just happen, that there are causal relationships at work, and that actions have consequences.

事物は、今まさに起こっているのではなく(直接的に存在しているのではなく)、そこには働いている因果関係がある、あるいは、作用は結果(影響)を生むという了解。

Rationale・・・This concept was selected because of the importance of prompting students to ask “Why?” and of helping them to recognize that actions and events have reasons and consequences. The analysis of causal relationships is significant within and across all disciplines.

児童・生徒に「なぜ」と問わせるよう誘導することの重要性、児童・生徒が、作用と出来事には原因と結果があるということを認識することを促すことの重要性からこの概念を取り上げた。因果関係の分析は、すべての教科の内に於いても、教科を横につなぐ上でも重要である。

Perspective・・・観点

Key question・・・ What are the points of view?

観点とはなにか?

Definition・・・The understanding that knowledge is moderated by perspectives; different perspectives lead to different interpretations, understandings and findings; perspectives may be individual, group, cultural or disciplinary.

知識は、観点によって規定されるという了解。異なる観点は、異なる解釈、異なる理解、異なる発見につながる。観点は、個人的、集団的、文化的、あるいは、教科的である。

Rationale・・・This concept was selected because of the compelling need to develop in students the disposition towards rejecting simplistic, biased interpretations, towards seeking and considering the points of view of others, and towards developing defensible interpretations.

児童・生徒の、単純化の拒絶に向かう気質の―これは(ものの)解釈に基づいている―、他の観点を探し求め、深く考えることに向かう気質の、そして、正当と認められる解釈の発展に向かう気質の開発のやむにやまれぬ必要性から、この概念を取り上げた。

 

 

私は、こうした概念を用いて、子どもたちがたいへん面白い探究活動を行い、深い知識(知恵)を獲得し、成長していくことを願ってやみません。

 

【コーディネーター通信】開智望まつりに向けて

コーディネーターの北村です。

 

開智望まつりに向けて

 

二年生を例にお話しいたします。

現在、探究のUNIT3を行っています。教科の枠を超えたテーマは「How we organize ourselves」で、「私たちは、何らかの目的のために仕組みを作る」という普遍的な知識(セントラル・イデア)を獲得していこうとしています。

 

 

未来に向かう「普遍的な知識」・・・・

 

この「普遍的な知識」にはどんな意義があるでしょうか。

 

子どもたちは、今は家族や学校というコミュニティーで生活しています。こうしたコミュニティーは、最初は子どもたちにとって、所与のものにすぎませんが、コンセプツを用いた、学校の探究と活動を通して、次第にコミュニティーは、私たちが何らかの目的のために作った仕組みであることを知っていきます。この知識は、やがて、地域社会、国、世界という広がりの中でも、歴史の中でも、実際にそうであることを知っていくことでしょう。

 

2050年、現在から30数年後、社会はきっと大きく変わっていることでしょう。技術的な面だけを考えると、人工頭脳の発達やロボット化は、きっと人間を豊かにし、様々な「問題」や「労働」から人間を解放することでしょう。

 

しかし、そのとき、民族問題、格差問題、食糧問題、資源問題等々の問題が解決しているかどうか。子どもたちが、青年となり、独り立ちしていく過程で解決しなければならないんですね。そういうときに、「組織というものは、人間に外から与えられたものにすぎない」というような消極的な知識しかもっていないとしたら、まぁ、そんなことはないとは思いますが、こりゃ、みんなのために、立場や考え方の違う人もいるのですから、そういうことも含めて、新しい社会を作っていくことが出来なくなってしまう。

 

子どもたちは、今は、身近なコミュニティーのなかで、それを探究することで、「私たちは、何らかの目的のために仕組みを作る」という普遍的な知識(セントラル・イデア)を獲得していっていますが、今後、国、経済、世界等の探究、植物、動物などの生物の探究、生態系の探究などを通して、この知識が大変な普遍性を持つことを「発見」するとともに、この知識を発展させ、より一層強固なものにしていくでしょうね。

 

ところで、ただやみくもに探究を行っても、こうした知識を子どもたち自身が獲得することは、大変難しいんです。むろん、「いいですか、諸君。『私たちは、何らかの目的のために仕組みを作る』ということは大変重要なことです。覚えておきなさい。」というような授業では、知識は子どもたちの能力にはならないし、もちろん「考え方」にはなりません。

 

こういう知識は、様々な事柄の探究を通して、様々な知識を獲得したうえで、ようやく「なるほどそうなのか」という形で獲得されないと、事実に支えられた、自分で考えるという「頭脳に汗をかく」プロセスを介して獲得された、リアリティーのある、「使うことのできる」普遍的な知識にはならないんです。そこで、登場するのが、コンセプツです。

 

子どもたちは、自分たちの仕組みの振り返り(Reflection)、身近な組織がそのような組織である理由(Causation)、自分たちの活動の中の役割を、観点を変えて考える(Perspective)、「望まつり」を作り上げる(Responsibility)というように、概念を用いて考え、発表するものを作り上げています。

 

「方法」としての「概念的な学び」と、その結果獲得される「リアリティーのある概念」、活用される教科の知識やスキル・・・・

 

さて、そのコンセプトですが、例えば、Causationは、PYPのフレーム・ワークであるMaking the PYP happenでは次のように規定されています。

 

Connection・・・関係

Key concept question・・・How is it connected other things?

これは、他のものとどのように関係しているか?

Definition ・・・The understanding that we live in a world of interacting systems in  which the actions of any individual element affect others.

私たちは、どんな個別的な要素も他のものに影響を与えるような相互作用するたくさんのシステムの中で生きているという了解。

Rationale・・・This concept was selected because of the importance of appreciating that nothing exists in a vacuum but, rather, as an element in a system; that the relationships within and among systems are often complex, and that changes in one aspect of a system will have consequences, even through these nay not be immediately apparent; that we must consider the impact of our actions on others, whether at the immediate, personal level or at the level of far-reaching decisions affecting environment and communities.

虚無の中に存在するものはなく、むしろ一切のものは一つのシステムにおける要素として存在している。システムの中の、あるいは、システム間の関係は、多くの場合複雑である。システムの、ある一面における変化は、直接的には見えなくとも、(他に対して)影響を持つであろう。直接的であろうと、個人的レベルであろうと、あるいは、環境と共同体に影響を与える遠大な決定のレベルであろうと、私たちは、自分の行為の他者への影響を熟慮しなければならない。以上の理由により、この概念を取り上げた。

 

 つまり、身近なコミュニティーを探究の対象として、漠然と何の道具立ても用いずに探究するのではなく、Connectionという「道具」を用いて探究するんです。

まず、「How is it connected other things? これは、他のものとどのように関係しているか?」という問いを、子どもたちと一緒に、たとえば、「ホーム」(異年齢学級)に即して、「三年生は、ホームでは、他の学年とどのように関係しているか?」、「実行委員は、ホームでは、他の仲間とどのように関係しているか?」、「実行委員は、ホームでは、他のホームとどのように関係しているか?」等々というように自分たちの置かれている状況に即して具体化します。

 そして、他の組織等々と比較し仮説を立て、その理由を考え、実際の状況から確かめ、考えをまとめていきます。そして、「私たちは、一人一人が、あるいは、学年や役割が、ホームの他の仲間や他のホーム、あるいは、学校全体や地域社会に影響を与えるような相互作用するたくさんのシステムの中で生きているんだ」という知識を獲得していきます。

 ちょっと難しい言い方をすると、対象の概念的把握、あるいは、概念的思考は、対象を普遍的な概念を用いて認識するとともに、その結果として対象の概念を捉えることであるが、そのことは、対象の「概念」はどのような構成要素を必要としているかを認識していくことでもあるんです。

 その「影響」の及ぶ範囲を「数」を用いて表現するときは「算数」で学んだ知識やスキルが役立ちますし、また、逆に、算数で学んだ知識やスキルが現実の探究の強力な方法として活用され、しっかりとした学力に昇華されていきます。

 また、その「影響」の精神的な側面を考えるには、「国語」で学んだ知識が活用されるでしょう。9月・10月に学んだ「動物園のじゅうい」で得た知識は、まさしく、「個人」や「役割」と「組織」との関係を理解するときに先行知識となるとともに、探究の中でリアリティーをより一層強めていくでしょうね。さらに、現在やっている「お手紙」はConnectionというConceptだけでなく、Perspectiveという概念についての理解も深めていくことにつながります。それがさらに、「自分たち」と「ホーム」「クラス」「学校」等の「組織」のあるべき姿の認識、自分たちに対するReflection、自分たちのResponsibilityの自覚ということにつながっていくんです。

 こういう探究を行うことにより、「概念的な学び」は、教科の内部でも、あるいは、教科の枠を超えた問題でも「活用可能」な強力なものに発達していくんですよ。

 

開智望まつりをお楽しみに・・・・

 

こういうふうにして、概念的な学びを通して獲得された「普遍的な知識」と、概念的思考の能力自体、態度を発表する場が、「望まつりは遊びながら学ぶ場である」というテーマの「望まつり」です。テーマから考えて大変楽しいものになりそうです。

それぞれの、グループが、クラスが、ホームが、どのように考え、具体的にどのような知識を獲得し、それに基づきどのように行動しているかをぜひご覧ください。

 

最後に一つお願い・・・・

 

「組織」というのは、開智望小学校の場合、児童と教師だけでなく、保護者の皆様も含みます。それがわが校の「学びのコミュニティー」だと考えています。ですから、皆様も、子どもたちの発表に積極的にかかわってください。つまり、「拍手で終わり・・・」にはしないでいただきたい。質問してください。疑問をぶつけてあげてください。ただし、相手は小3までの児童です。お手柔らかに。

 

 

 

●選ばれなかった言葉を考えながら読書をしていますか~知的複眼読書法

こんにちは、開智望小学校広報担当の野口です。
いつも開智望ブログをご覧いただきありがとうございます。
このブログでは、毎回開智望小学校の教育について紹介しております。

 

 

・2年生の国語の授業より

 

 2年生の国語の授業では『お手紙』を取り上げています。

がまくんとかえるくんの「お手紙」をめぐる心温まるお話です。がまくんとかえるくんの特徴(Form)を捉えてから、心情の変化(Change)で読み解いていきます。

 

最初はがまくんとかえるくんとかたつむりくんの写真を写しながら、こう問いかけました。

「何でお手紙を運ぶのがかたつむりくんなんだろう?」

この問いかけによって、かたつむりの特徴(Form)や役割(Function)が見えてきます。

「みんな、別にかたつむりくんが、さるくんでも、いぬくんでもよくない?」

 

→「たしかにそうだね。なんでだろう?」

 

子どもたちは、教員からの問いかけに対して、問題意識を持って本文と対峙することができます。

 

ただ読むのではなく、考えながら読む。どうすれば、考えながら教科書を読むことができるのでしょうか。大人になってからも、どうやって読書すればよいのでしょうか。

 

最近、この本を読み返しました。

 

 

知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ (講談社+α文庫)

知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ (講談社+α文庫)

 

 

大学生の時以来何度も読み返していますが、本当に名著です。

1000円以内で大学半年分の講座に匹敵する学びがあります。

 

読むこと、書くこと、そして概念的に考えることに関して、分かりやすい言葉でまとめられています。

 

・考えながら読む時のキーワードは、相対化→対話→つっこみ

 

もちろん、名文を暗唱することも効果の高い読書でしょう。英語の音読のように名文の型を頭にインストールすることは子どもたちにとって有益です。

 

ただ、名文を絶対化するやり方では物事を考える力が育ちません。

 

「相対化」

一つの物事を絶対化しないで、他の可能性を探るやりかたです。

 

・なぜかたつむり何だろう?ほかの生き物でも良くないかな?

・どうして、お手紙は早く届かないんだろう?この場面いるかな?

 

小学校2年生からだって、相対化しながら読むことは可能です。

 

そして、選ばれなかった言葉、選ばれなかった登場人物、選ばれなかった場面を考えるのです。

 

「はじめまして」

 この1秒ほどの言葉に、一生のときめきを感じることがある。

「ありがとう」

 この1秒ほどの言葉に、人のやさしさを知ることがある。

「がんばって」

 この1秒ほどの言葉に、勇氣がよみがえってくることがある。

「おめでとう」

 この1秒ほどの言葉に、幸せにあふれることがある。

「ごめんなさい」

 この1秒ほどの言葉に、人の弱さを見ることがある。

「さようなら」

 この1秒ほどの言葉が、一生の別れになるときがある。

1秒に喜び、1秒に泣く。一所懸命、1秒。

 

二度だけ放送された幻のCM、SEIKO「一秒の言葉」の詩が心に響く - Spotlight (スポットライト)

 

先日、探究の時間に保護者の一人である社長さんが子どもたちのインタビューに応えてくださいました。その授業の最後に社長さんが紹介してくださったのが、この詩。

 

とても印象的で特に、

「はじめまして」

 この1秒ほどの言葉に、一生のときめきを感じることがある。

 

このフレーズに思わずきゅんとしました。

一生のときめきを感じることがある。

→一瞬と一生が対になっており、資生堂のコンセプトを思い出しましたが、一生のときめきというのがポイントですね。

 

この1秒ほどの言葉に、苦痛の日々のゴングが鳴ったことを感じる。

こんな言い方だってできなくはないですね。(だいぶへたくそですみません。)

 

いずれにせよ、選ばれた言葉には理由があり、選ばれなかった言葉があるということですね。

 

論文や記事のよしあしを決めるものも、選ばれなかった言葉の数ではないでしょうか。就職活動の時にお世話になった先輩の言葉を思い出しました。

 

「君のエントリーシートは何回書き直した?選ばれなかった言葉の数で文章の質が決まるんだよ。」

 

「対話」

そして、こうして問題意識を持って読書をすると著者との対話が始まります。

 

・「なるほど」

・「ここは鋭い」

・「納得がいかない」

・「どこか無理があるな」

・「その意見に賛成だ」

・「その意見に反対。自分の考えとは違うな」

・「同じような例を知っている」

・「見逃されている事実や例がないか」

・「自分ならこういうことばをつかって表現するな」

 

『知的複眼思考法』より

 

対話をしながら読みすすめ、時には本を閉じてノートを広げます。

図解化してみたり、付箋に書いてみたり。

 

こうして読み進めるとだんだんと考える力がついていきますね。

 

「つっこみ」

対話をしながら読むということは、つまりは、文章に「つっこむ」ということです。

 

「ほんとに?」「うそでしょ?」「いやいや、こういう場合だってあるじゃん?!」

 

こんな風に読書をすると、いいのではないでしょうか。

 

今回のブログは以上です。

 

きっと読むだけではなく、書くときも、話すときも、選ばれなかった言葉の多さがコミュニケーションの質を高める秘訣ではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●協働学習における思考とは?~異学年齢算数の風景から

こんにちは、開智望小学校広報担当の野口です。
いつも開智望ブログをご覧いただきありがとうございます。
このブログでは、毎回開智望小学校の教育について紹介しております。

 

・開校してから1年半が経過しました。

つい2年前までは新守谷駅の前は森でした。

 

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その後、校舎が出来上がって開智望小学校が誕生。

時の流れは早いものです。

 

平仮名さえ書けなかった子が

立派な作文を書く、人前で発表する、1年生のお世話をする。

子どもたちの成長を見られるのは教員としての醍醐味ですね。

 

・異学年齢算数から考える協働学習における思考とは?

さて、先日2回目の異学年齢算数を実施しました。

 

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写真には1年生から3年生までが写っています。

異学年齢の子たちがグループワークで協働的に学びます。

 

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・単なる遊びにならない

・きちんと図形に関する認識を深められる

・かと言って難しくならない

・子どもたちがやる気になる

・複数の課題に取り組み、前の課題の学びが次の課題に活かされる

 

こうした条件に当てはまるワークを実施していきます。

 

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子どもたちが協力して課題を解決していきますが、いくつかの行動を見ていると

以下の4つの行動に分類できるのではないか、と思いました。

 

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①何をやればいいかわからない子

 1年生の中には、何をすればいいのか理解できない子がいました。

 すかさず2年生や3年生が優しい言い方で作業を説明します。

 まずはきちんと作業を理解することが協働学習では欠かせません。

そのためには

 

目の前のことに集中する姿勢・相手の目を見て話を聞く・分からないことがあったらきちんと確認する

 

こうした要素が不可欠です。

 

②ブロックをつみあげる子

 

続いて単にブロックを積み上げる子がいます。

ブロックをさわってるうちに、楽しくなってしまい本来の目的を忘れてしまうんですね。

 

これは大人でも注意が必要です。

 

あと3時間で友人がお家に遊びに来る。

「片づけよ!(目的)」と思っても、

いざ片付けを始めると、「あ、こんな本もあったな。あ、こんな所にアルバムが」

気づいたら本を読んだり、アルバムを開いて・・・

 

あっという間に3時間経過。

 

私が子どもの頃、こうした母の姿を何度も目撃しました。

 

③目的から目の前の作業を考えられる子

きちんと目的から考えられる子は、他の子が目的から考えて不要なブロックをならべようとすると「それは違うよ」と指摘することができます。

 

これも仕事をする上では大切ですね。

 

何のためにコピーをするのか。

この作業の裏にはどんな目的があるのか。

 

こうしたことを考えられる人と、

・ただ指示を待って動く人

・眼の前の作業しか見えていない人

 

大きな違いがあるのではないでしょうか。

 

④目的から別の作業まで考えられる子

早い段階から、このレベルまで考えられるとチームに貢献することができますね。

 

給食や掃除の時に、目的から考えて別の作業を思いつける子。

とてもソーシャルスキルが高いと感じます。

 

掃除をしていると、さっとちりとりを持ってきてくれたり、

給食の時に、配り終わっていない牛乳を運んでくれる子がいるんですね。

 

大人になってからも業務全体から自分の作業を定義し、

全体が終わるために自分が何をすべきか考えられると組織で重宝されますね。

 

・まとめ

協働学習において子どもたちは大きく分けて①~④の行動をとる。

教員として保護者として将来を見据えて、できれば④のような行動を取れるようにサポートしていくとよいのではないか。

 

今回のブログは以上です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●Inquirer's highを生み出す2つの仕掛け~①大きな疑問・小さな疑問②大きな業務・小さな作業

こんにちは、開智望小学校広報担当の野口です。
いつも開智望ブログをご覧いただきありがとうございます。
このブログでは、毎回開智望小学校の教育について紹介しております。

 

●Inquirer's highの教室風景

2年生の探究は、来週発表を控えています。

 

子どもたちは全員が真剣に作業をしています。f:id:kaichinozomi:20160924043133j:plain

↑の彼が見ているのは、自らディズニーランドに行って、キャストの人にインタビューしてきた結果の資料です。とても真剣に発表資料を作成しています。

 

 

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彼女は、前回のブログで紹介したケーキやさんにインタビューした子です。

 

 

kaichinozomi.hatenablog.com

 

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この班は、手前のリーダーの子がみんなに分業を指示しています。

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話し合って、作業して、また話し合う。

 

こうして発表用の資料は完成していきます。

 

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茨城県の中で一番おいしいケーキ屋さんは茨城県の上の方にある。(仮説)

理由は、北海道と近いから牛乳がいっぱい取れる。(論証)

 

これ、とっても可愛くないですか?

2年生なので、北は知りません。とても子どもらしくで思わずキュンとなりますね。

 

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子どもたちには、思考の形式(プレゼン資料のフォーマット)だけ渡せば、

勝手に分業し始めるのです。

 

まさに、Inquirer's highという状況です。

 


GTO OP   L'Arc~en~Ciel Driver's High

 

Driver's Highを思い出しました。

 

子どもたちの思考が熱くなり、そこには熱中教室があります。

 

教員としては至福の時です。

 

 

子どもたちは40分間集中し続けて、とても授業を終われる状況ではありませんでした。休み時間もいらないし、次の国語の授業よりも探究をやりたそうな顔をしていました。

 

そして「このまま探究したい人?」と訊くと

全員が「はーい!」

こうして次の国語の授業を半分にして、ほぼ全部の班が発表資料を完成させたのでした。

 

来週は、いよいよ発表なのでとても楽しみですね。

 

●Inquirer's highを生み出す2つの仕掛け

①大きな疑問・小さな疑問

②大きな業務・小さな作業

 

さて、タイトルに戻りましょう。

 

彼ら2年生が最初からInquirer's highの状態になれたのではありません。

そこには明確な仕掛けが2つあります。

 

①大きな疑問・小さな疑問

私はたくさんの本を読んできましたが、優れた本は全て大きな疑問と小さな疑問が明確です。優れた論文もまたしかり。

 

たとえば、以前紹介したこの本。

 

未来に先回りする思考法

未来に先回りする思考法

 

 

大きな疑問:未来はどうなるのだろうか?私たちはどう未来を先回りすればいいのか?

小さな疑問:

・未来に先回りする思考法とは?Formの観点

・テクノロジーは社会をどう塗り替えるのか?Changeの観点

・どんな問題をもたらすのは?Causation,Connectionの観点

・未来を予測した上で、個人はどう意思決定すべきか?Responsibilityの観点

 

読書をしながら、これはFormの話だな。これはResponsibilityだな。

いつも考えながら読んでいます。

 

優れた本ほど、構造はシンプルで、大きな疑問と小さな疑問がリンクしているのです。

 

子どもたちにも今回、大きな疑問と小さな疑問を考えてもらいました。

 

大きな疑問:ディズニーランドがたくさんの人を楽しませる仕組みって何?(function)

小さな疑問:

・アトラクションの仕組み

・お店屋さんの仕組み

・キャストさんのCaring

 

こうしてグループで考えていくのです。

 

そうすると論理的思考力が鍛えられ、

「君は、アトラクション、君は、お店屋さん、君はキャストさん」と分業もやりやすくなります。

 

②大きな業務・小さな作業

 

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全体像、先読み、優先順位。

 

知的労働には欠かせない考え方です。

その中でも非定型のプロジェクトでは、上記のようなWBSや業務フローが必要です。

全体の業務を理解した上で、いつまでに誰が何をするのか。

見える化した形にしなければ協働ができません。

 

逆にどんな業務であれ、全体像と優先順位が付けられればいつか完了するんですね。

 

子どもたちにもこのプロジェクトマネジメントの手法を身に付けてほしいので、

いつまでに誰が何をするのか。

これを口をすっぱくして教えています。

 

デシリットルも仮定法過去も忘れてもいいですが、

このやり方を忘れなければ宇宙開発だろうが、企業再生プロジェクトだろうが、

世界中の知的労働を協働できるのではないか、と信じています。

 

今回のブログは以上です。

 

 

 

 

 

 

 

 

●菓子工房 あおい さんにインタビューしました!(白熱探究レポートと"上滑りにならない"探究の流れ)

こんにちは、開智望小学校広報担当の野口です。
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・2学期の探究が本格的に進んでいます。

1年生は工場見学に行って、物ができるまでの流れを学んでいました。

2年生は、How We organize ourselvesを1年生よりも高度なレベルで進めています。

 

 

kaichinozomi.hatenablog.com

 

・低学年の探究活動は、文献調査よりもインタビュー

 1期生である今の2年生は開校以来ずっと探究という授業を受けています。他の小学生よりも、もちろん発表には慣れていますし、グループワークもお手の物。

もちろん体調や天候、精神的な影響により上手くいかないこともありますが小学校低学年とは思えないパフォーマンスを発揮します。

 

疑問を持ち、仮説を立てて、調査し、まとめて、発表する。

 

この中でいつも教員として苦戦するのが調査です。

インターネットのサイトの漢字に全て手で読み仮名を書くことも珍しくありません。

そのまま使える図鑑はほぼありませんし、教科書と比べても難しい用語が多い本はまだ調査に使えません。

 

夏休みの探究では子どもたちはインタビューを頑張っていました。

中には20~30名近くに自分でインタビューをして、グラフに結果をまとめている子も。

 

これだ!と思い立ち、今回の探究ではインタビューを実施しました。

 

2年生の探究のセントラルアイディア(身に付けてほしい世界観・深く本質的な知識)は「私たちは目的のために仕組みを作る」です。

 

その中で色々な組織の目的と仕組みの探究を行っています。

 

もちろん巷で言われているような探究サイクルにも則っています。

 

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http://www.edu.city.kyoto.jp/sogokyoiku/kenkyu/outlines/h23/kiyou/554.pdf

 

たとえば、

課題の設定)

★人気のケーキ屋さんと、そうではないケーキ屋さんは何が違うんですか?

★何人くらいでケーキを作っているんですか?

★ケーキ屋さんがなくなってしまったらどうするんですか?

 

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授業前に突撃電話をして、なんとすぐに答えていただきました。

 

tabelog.com

あおいさんのケーキを普段からよく食べているという2年生の女子。

 

楽しそうに上記の質問をしていました。

 

★人気のケーキ屋さんと、そうではないケーキ屋さんは何が違うんですか?

→ケーキの種類がたくさんあった方がいいし、お店を可愛くしたり色々な工夫をしています。

 

★何人くらいでケーキを作っているんですか?

→3名で作っています。少し前は6人いましたが、仕事は朝が早くとても大変なので、そのうち3名は色々な事情で辞めてしまいました。

 

★ケーキ屋さんがなくなってしまったらどうするんですか?

→それは困ってしまいますね。そうならないためにいつもがんばってケーキを作っているんですよ。

 

懇切丁寧に回答してくださいました。

 

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・他にも保護者にインタビューをしています。

 

★病院ではどうやって多くの人を案内しているんだろう?

★多くの患者さんを診るための仕組みはあるんだろうか?

★どんな病気が多いんだろう?

★お薬を間違えない工夫はあるんだろうか?

 

こんな疑問を看護師さんをしている保護者に直接インタビューしてみました。

 

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子どもたちは真剣な眼差しで聞いています。

 

・上滑りの探究にならないためにコンセプトがある。

 

さて、図解でこれまでの流れを整理してみましょう。

 

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私たちは、現象の世界であるケーキ屋さんや病院に対して疑問を持ち、調査します。

 

もちろん調査し、発表もします。

しかし、それだけでは上滑りの探究になってしまいます。

 

個別のケーキ屋さんや病院から普遍を取り出さなくてはなりません。

 

・探究の流れ

探究① ケーキ屋さんや病院についての疑問を持つ。インタビューなどで調べる。

探究② 仕組みや構造を見つける。本質の仮の姿

探究③ それをディズニーランドや他の組織に当てはめる。誤謬(ミス)を見つける。

探究④ もう一度深掘りする。もっと本質に近い仮の姿を見つける。

探究⑤ その本質に近い構造をもとに、自分たちの「開智のぞみまつり」の展示を創る

 

ケーキ屋さんにも病院にも

「人にわかりやすく情報を伝えるための仕組みがある。」

「ケーキ屋さんにも病院にも、複数の人が同じ品質で働けるようなマニュアルがある。」

 

こうした共通点を探っていくのです。

その中から他の組織でも応用可能なものを認識していきます。

 

もちろん何種類のケーキがあるの?お医者さんの好きな食べ物は?という質問も価値がないわけではありません。

 

ここで、Form,Function,Change,Responsibilityというコンセプトを使うと

より本質に迫れる認識を得られるのです。

 

「ケーキ屋さんが人を集めるための仕組み(Function)って何だろう?」

「病院が多くの人を上手に案内する仕組み(Function)って何だろう?」

 

「ケーキ屋さんの責任(Responsibility)って何だろう?」

「お医者さんの責任(Responsibility)って何だろう?」

 

 

これらを踏まえて自分たちがのぞみまつりでお客さんを呼ぶために

仕組み(Function)や責任(Responsibility)を考えていくのです。

 

そして、ケーキ屋さんや病院、自分たちで企画するのぞみまつりを終えると

2年生の探究のセントラルアイディア(身に付けてほしい世界観・深く本質的な知識)「私たちは目的のために仕組みを作る」ということを子どもたちは認識するのです。

 

※途中では、長さの単位を使って算数と教科の融合をする。国語と連携して文章を読むなどの活動もあります。

 

巷の探究では、今回紹介したような深掘りがないため大人になった時に何が現象で何が本質か分からなくなってしまうのではないでしょうか。

 

ここにアクティブラーニングの弱点があると開智望小学校では考えて、

そうならないための工夫をいつも意識しています。

 

 

kaichinozomi.hatenablog.com

 

・大人になった時には

 

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 ※以下の本より引用

本質思考: MIT式課題設定&問題解決

本質思考: MIT式課題設定&問題解決

 

 

こうして様々なレイヤー(階層)で物事を考えられる人になってほしいと考えています。

 

今回のブログは以上です。

 

 

 

 

 

 

●裸の肉眼でみえなかったところのものを明らかに映し出し、見なれていた風景を一変させるのが・・・

こんにちは、開智望小学校広報担当の野口です。
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猛暑がようやく過ぎ去り、だんだんと日照時間も短くなり秋の訪れを感じますね。

子どもたちはプールに授業に全力でがんばっています。

 

秋といえば、スポーツの秋、読書の秋です。

今回は探究を理解する上ですごく参考になった本を紹介してまいります。

 

 

読書と社会科学 (岩波新書)

読書と社会科学 (岩波新書)

 

 

NAKAHARA-LAB.NET 東京大学 中原淳研究室 - 大人の学びを科学する: 社会科学を学ぶことの意味:概念装置という考え方

 

 

・コンセプト、Concept、概念、概念装置が探究における最重要用語

 

もし、<これ>をなくしたら探究でなくなるものは何か。

そう聞かれたら、<コンセプト>と答えるでしょう。

 

開智望小学校の開校プロジェクトが始まって以来、私たち教員はこの<コンセプト>について研究してきたといっても過言ではありません。

 

巷のアクティブラーニングに欠けているものが<コンセプト>であり、

国際バカロレアが、なぜ考える力を身に付けさせられるのかが<コンセプト>であり、

子どもたちが認識を深める道具こそ、<コンセプト>です。

 

 

私と<コンセプト>との出合いは、この本です。

 

 

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

 

 

これからは<コンセプト>なんだな。そう思った時期を今でもはっきりと思い出します。

 

大前研一氏の本、内田樹氏の本などを読むと、自分の内面に衝撃が走るわけです。

まさにそれはこの一節が表しているものでした。

 

裸の肉眼でみえなかったところのものを明らかに映し出し、見なれていた風景を一変させる。

 

今回ご紹介する『読書と社会科学』に出てくるこの一節こそ、探究とは何か私たちに教えてくれる含蓄のある表現です。

 

<コンセプト>とは、具体と抽象をつなぐものですね。

 

しかし、

コンセプト

Concept

概念

概念装置

 

どれも似て非なるものです。

 

企画のコンセプトとは何でしょうか。

国際バカロレアのKey Conceptとは何でしょうか。

概念形成における概念とは何でしょうか。

そして、今回登場する概念装置とは何でしょうか。

 

それぞれ微妙に違うのです。

 

 

kaichinozomi.hatenablog.com

kaichinozomi.hatenablog.com

 

具体例から考えてまいりましょう。

 

・部分合理全体合理とマトリクス

 

私は、普段から乱読派で何でも読んでしまいます。

その中で改めて読み返す本も少なくありません。

 

『ストーリーとしての競争戦略』もその1つです。

 

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参照元

http://www.nittochi.co.jp/enterprise/estate/cre/forefront/1304_1.html

 

この図を四象限のマトリクスと言いますが、

この図には世の中を読み解くヒミツが隠れていますね。

 

探究とは部分的には非合理的、しかし全体としてみれば合理的なのです。

一見遊んでいるように見えて、実はコミュニケーションスキルやソーシャルスキルを身に付けています。

 

子どもたちで話し合ってでた結論が実は違っていて、いったんカオス状態に入ります。

それでも、それを乗り越えて全体としてみれば最後にはきちんと合理的になります。

 

これまでの教育はどちらかというと、部分的には合理的で、全体としてみれば非合理的でした。

バラバラの知識が使いこなせない、大人になったら学ばない。こうした現象の裏側には、部分合理全体非合理が隠れているのではないでしょうか。

 

他にも最近話題の映画『君の名は。

恥ずかしながら私は2回見ました。子どもたちにその面白さを伝えても

「なにそれ?」という感じ。小学校2・3年生にはまだ早いですね。

 

ストーリーの中にも部分的には非合理的で全体としては合理的な要素があります。

ある人の言葉を借りると「裏切って裏切らない」となるでしょう。

 

優れた小説やマンガ、そして物語には部分的には非合理的、しかし全体としてみれば合理的なものありませんか。

 

こうした見方そのものが概念装置です。

 

こうした世の中の現象を読み解く目を養うことこそ、探究の醍醐味です。

 

ガストのドリンクバーはどうでしょう。

プリンターのビジネスモデルはどうでしょう。

なぜ、USJのジェットコースターは後ろ向きに進むのでしょう。

なぜ、教えない方が結果的に学力が上がるのでしょうか。

 

その裏側には部分的には非合理的、しかし全体としてみれば合理的なものがあるのです。

 

しかし、残念なことに部分的には非合理的、全体としての非合理的になってしまうこともありますので、注意が必要です。

 

それこそ巷のアクティブラーニングの失敗例です。

すなわち、活動あって学びなし。この学びというのがまさに認識の深化として概念形成ですね。

 

さて、もっと抽象度を上げましょう。

 

四象限で考える。

 

先ほどは、部分的には非合理的、全体としての合理という少し具体的な要素が入っていました。今度は、もっと抽象的です。

 

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参照元

http://www2.gsn.ed.jp/houkoku/2011c/2011gaiyouban/28.pdf

 

最近コーチングのセミナーに参加しましたが、そこでは自己肯定感という言葉が言われていました。

ぜひ興味がある方はこの本がおすすめです。講師の高校の先生が紹介されていました。

 

アファメーション

アファメーション

 

 しかし、単に自分自身を尊敬しているだけでは困るわけです。

単なるナルシストですね。

 

そうではなくて私も肯定し、あなたも肯定する。

それが大切ではないでしょうか。

 

そして今回申し上げたかったことは、こうした四象限で考えるというやり方自体の価値です。

 

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参照元

https://www.josys.jp/itknowledge/timemanagement_for_leaders20160208

 

かの有名な『7つの習慣』の緊急度・重要度マトリクスです。

 

他にもプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント

 

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参照元

http://marketing-campus.jp/lecture/noyan/040.html

 

世の中の現象を読み解く四象限はたくさんあります。

 

そういう目で中学校の数学をもう一度見てみましょう。

 

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参照元

http://mtf.z-abc.com/?eid=516254

 

そうです。私たちは中学校の時にこうした四象限の考え方を確かに学んでいるのです。

しかし、それは数学の世界だけ。世の中を読み解く時にこうした考え方は使わないのです。

というか使えないのです。これで本当に良いのでしょうか。

 

開智望小学校の子どもたちには、特にビジネスの世界に行って活躍してほしいわけではなく、こうした考え方の切り口を身に付けてほしいのです。

 

四象限の縦軸と横軸は何でもいいのです。

表でもグラフでも、いいのです。

そうではなくて良い・悪い、善悪という二項対立では見えてこない現象の奥の本質が四象限にした時に初めて見えてくるという話です。

 

どうですか。

 

あなたの周りにも四象限で読み解けることがたくさんありませんか。

 

裸の肉眼でみえなかったところのものを明らかに映し出し、見なれていた風景を一変させるのが・・・

 

そうです。これが探究なんです。

 

良い本を読めば、今までの景色が違って見えます。

<あれもそういうことだったのか。これは実はこういうことだったのか。>

 

こうした発見、興奮という知的好奇心の醍醐味を小学校のうちから味わえたら素敵ではありませんか。

 

探究をした子どもたちはきっと

<<バラバラの知識が使いこなせない、大人になったら学ばない。>>

ではなく、

 

バラバラの知識を結びつけて、新しいことを考え出す。

大人になっても学びつづける。

 

私は信じています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●英語「を」学ぶ、英語「で」学ぶ開智望小学校

こんにちは、開智望小学校広報担当の野口です。
いつも開智望ブログをご覧いただきありがとうございます。
このブログでは、毎回開智望小学校の教育について紹介しております。

 

・雑誌に取り上げられました!

 

数ページにわたり開智望小学校が取り上げられました。

 

在校生の保護者の皆様、これからお受験をご検討の方におすすめの雑誌です。

開智望小学校のことはもちろん、他の私立の小学校に関する情報も充実しています。

ぜひ一度ご確認いただければ幸いです。

 

・英語「を」学ぶ開智望小学校

 まずは、英語「を」学ぶのが開智望小学校です。

 

これからは、(1)語学力・コミュニケーション力(2)主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感、使命感(3)異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティが求められる(【グローバル人材育成会議推進会議決定グローバル人材推進会議 審議まとめより】)中で、開智望小学校では、子どもたちが主体的に英語を学べる環境が整っています。

 

英語教育の特徴は以下の2点です。

 

<英語教育の特徴>

・12年間の子どもの成長を見通した教育カリキュラム
・MI理論をもとにした授業デザイン

 

12年間の成長を見据え、PYP,MYP,DPへと発達段階に合わせたプログラムを提供しています。MI理論とは、何でしょう。

Multiple Intelligences

子どもたちの知能は多様です。

 

http://www.connectionsacademy.com/blog/posts/2013-01-18/Understanding-Your-Student-s-Learning-Style-The-Theory-of-Multiple-Intelligences.aspx

 

Music Smart、Body Smart、Logic Smart

机の上でお行儀よくしているだけでは子どもたちの多様な賢さは伸ばすことができません。音楽の中で英語を学び、身体を動かす中で英語を学び、論理的な思考と合わせて英語を学ぶのです。

 

開智望小学校では小学校1年生からネイティブの教員による英語の授業が毎日あります。英語そして、Art(図工との教科融合)、Music(音楽との教科融合)ですね。

 

 

 

・英語「で」学ぶ開智望小学校

さて、続いて英語「で」学ぶ開智望小学校についてご紹介しましょう。

当ブログをお読みいただいている皆さんは教育熱心な方が多いので、ご存知の方もいらっしゃると思います。

 

www.eltbooks.com

 

Oxford Read and Discoverの教材を使って、自然科学などの分野を英語で学んでいきます。探究活動の中でも、英語のリソースを使って調査する機会は高学年になればなるほど増えていくでしょう。

 

 

kaichinozomi.hatenablog.com

 

1年以上前にコーディネーターの北村が紹介しました通り、国際バカロレア初等教育プログラムにおける教科融合型のテーマでは、日本語だけで探究することは不十分です。

 

Where we are in place and time 
時間的かつ空間的な定位(位置づけ)の探究、すなわち、自分史、帰るべきところとその旅程、人類のなした発見や探検と移動、地域及び地球規模の観点から見た個人と文明の関係や相関関係の探究。

 

たとえば、このWhere we are in place and time の探究では移民などのテーマが避けられません。日本に住んでいると移民の問題などを身近に感じられない方もいるかもしれませんが、これからの社会はそんなことは言っていられないでしょう。人も情報もモノも国境を超えて移動する中で、

 

自分はいったいどこから来たのか?

自分は何者なのか?

 

を考える機会はきっと貴重なものでしょう。

私の知人は外資系の企業で働く人が多くヨーロッパへ出張することも多いようです。

 

ヨーロッパでは、フランス系の母とイギリス人の父の元で、ドイツで育ったというような人も増えているそうです。そうなると、本当に自分たちが何者なのか考えることになるでしょう。

 

民族や文化には長時間に渡る歴史があり、その歴史を紐解くと根が深い問題もあるかもしれません。大学時代にはフランスの公立学校における「スカーフ事件」などをゼミで研究しましたが、より一層未来に生きる子どもたちには、正解が1つではない問題に直面するでしょう。

 

世界に生きる子どもたちは、日本語の情報だけを集めるのでは、当然視野狭窄になってしまいますね。

国際バカロレアのPYPに関しても英語ではPlanner(授業の計画書)やワークシートを

世界中から集めることができます。望小学校の教員は日々、そうしたリソースを集めて授業を構想しているのです。

 

子どもたちも徐々に自分たちの探究テーマに関して英語で情報を集められるようになってほしいですね。

 

というわけで、今回のブログは以上です。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

 

●Organizeとは何なのか?~2学期の1・2年生の探究「How We organize Ourselves」より

こんにちは、開智望小学校広報担当の野口です。
いつも開智望ブログをご覧いただきありがとうございます。
このブログでは、毎回開智望小学校の教育について紹介しております。

 

2学期が始まりました。

 

kaichinozomi-daily.hatenablog.com

 

こんがり日焼けして、少し大人になって帰ってきた子どもたち。

夏休みは"遊び"に"探究"に充実した日々を過ごしていたようです。

 

夏の探究の一例)

 

◯昨年は磁石でロボット作成

→今年はロボット教室で習ったことを踏まえて坂道を上るロボットを作成

 

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◯昨年は安曇野について調査

→今年は安曇野の昆虫食などをさらに深掘り

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「探究は続くよ、どこまでも」ということで昨年の探究で達成感を得た2年生が

さらに、深く・広い探究をしてくれて嬉しいばかりです。

 

9月3日(土)は夏の探究の発表会があり、午後には説明会があります。

説明会の参加者の皆様には子どもたちの夏の成果をご覧いただけますので、

奮ってご参加ください。

 

説明会予約フォーム - 開智望小学校

 

◎Organizeとは何か。

 

さて、1・2年生の2学期の探究は、

「How We organize Ourselves」です。

 

日本語にすると、「私たちは自分たちをどう組織しているのか」となります。

 

organizeとはどんな意味なのでしょうか。

 

organize は,organization(組織)という単語の動詞形。
なんか,いかめしい感じがしますが,日常的なことばとして使います。
organize の基本的な意味は,
「全体がうまく機能するように,個々のものを順序よく並べる」。

鍵盤が順序よく並んで,全体として1つの楽器になる organ(オルガン)も関連語です。

参照:

Organize ってどういう意味? ( 中学校 ) - 池村大一郎の英語学習おもしろダイアリー - Yahoo!ブログ

 

 

「全体がうまく機能するように、個々のものを順序よく並べる」こと。

 

この1文を読むだけでも子どもたちと一緒に行う探究の幅が広がります。

 

全体がうまく機能するように個別のものが順序よく並べられたもので何が思いつくでしょうか。

→パソコン、iPhone、サッカーのポジション、駅の路線図、などなど、身の回りには上手に組織されたもので溢れていますね。

 

このように、ある視点を持って世の中を見渡すと、バラバラだった個別の事象が結びついて見えてきます。

 

1年生は「1つのもの(商品)」などを注意深く分析して、バラバラに分解していきます。

イチゴのショートケーキは何でできているのか。

イチゴとタマゴと何だろう、と考えていくのです。(Connectionで考える)

 

そして、次にPerspectiveで考えます。

イチゴのショートケーキに関わる人ってどんな人がいるんだろう?

ケーキ屋さんに、材料を運ぶ人、そしてお客さん、もしかするとケーキの入れ物を作る人のいるのかもしれないね。

 

最後は、Responsibilityで考えます。

人間と環境の関わりから、私たちの責任について考察していくのです。

イチゴのショートケーキという1つのものについて、上記のように探究をしていくと

子どもたちはこんなことを思うでしょう。

「こんなにたくさんの人が関わっているんだな。ケーキ屋さんの工夫がわかるとケーキを大切にしないとね。」

「ゴミがたくさん出ると地球にとってよくないから、残さないで食べよう!」

 

イチゴのショートケーキを探究していくことで、

知識や概念的思考(Connectionなど)、そして態度が育まれていく様子がお分かりになりますか。

 

実は昨年こうした探究を行った今の2年生、夏の探究で素晴らしい調査をしてきました。

 

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最後のまとめの「たとえば」がまさにResponsibilityですね。

 

この2年生の子は、川の汚れという問題意識に対して、どこが一番汚れているのか。

その原因は何なのか。そしてどうすればきれいになるのか。

大人顔負けの力強さで探究をしてきました。

 

国際バカロレアの探究では、単なるアクティブラーニングではなく、

まさにこうした全人教育といえる、深くて広い探究を実施しようとしているのです。

 

閑話休題

1年生は「個別のもの」を中心に注意深くそのもの自体を分析して、そのものと他のものや人との関係を探究していきます。

 

2年生は、もう少し広く「組織やコミュニティ」に目を向けます。

 

公園やコンビニ、そしてディズニーランドなどをまずは要素に分解します。

次に、以下の問いかけをしていきます。

 

コンビニには、何があるんだろう?(Form)

コンビニには、どんな人が働いているんだろう?(Function)

コンビニには、お客さんに「便利さ」を提供するためのどんな工夫をしてきたんだろう?(Changeなど)

 

1年生でも2年生でもコンセプトといって概念的に考えるための視点、切り口を用いることによって、どんどん考える力を身に付けていくのです。

 

 

 

この本でも再三日本の教育では考える力が育たないと言われています。しかし、教育の世界では、具体的にどうすれば考える力を育めるのか、その方法があまり考えられていないのです。

 

幸い私たち開智望小学校では、国際バカロレアフレームワークを用いて日頃から、

8つのコンセプトを用いて探究をしています。

 

それらによって、どんなトピックを与えても、自分なりに考えることが徐々にできるようになるのです。

 

もちろん8つのコンセプトが全てではありませんが、考える切り口があるととっても便利ですね。

 

本題に戻ると、2年生はディズニーランドなど人を集める場所にはヒミツがあることを探究を通して会得していきます。

これが前半のインプットになります。

 

そして、後半は自分たちで人が集まる場所を作っていくのです。

 

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今年も10月に開智のぞみまつりが開催されます。

そこに向けて自分たちで企画・運営していくのです。

 

多くの小学校では、行事は行事のためだけ、工場見学は工場見学だけに終わってしまいがちです。

 

そうではなくて、私たちは、

工場見学を通して、

開智のぞみまつりを通して、

「How We organize Ourselves」ということを学んでいくのです。

 

Organizeですから、多分に工夫の余地があります。

「全体がうまく機能するように、個々のものを順序よく並べる」のですから、

 

もっとよく並べる方法があれば変えていいわけです。

全体がうまく機能するように創造的に考えられるわけです。

 

これまでの教育では正解ばかりが溢れていました。

しかし、大きなテーマが与えられることによって、より考える余地が生まれ、

子どもたちが主体性を発揮しやすくなります。

 

小学校のうちからOrganizeという概念を身をもって学んでいけば、子どもたちが大人になる頃には、もちろん選挙に行くでしょう。もちろん街づくりや起業なんてする子も出てくるかもしれません。

 

今回紹介した川の汚れについて探究した子の将来なんて、楽しみで仕方ありません。

 

今後も探究の様子は随時発信してまいりますので、ぜひお楽しみに!