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副室長コラム 数学の授業風景(1/3)

授業風景
子どもたちを観察してみると、「見たり、聞いたり、読んだりするなかで学ぶタイプ」、「じっくりじっくり考えるタイプ」、「実際に動き、作業するなかで体得するタイプ」。「直感を信じるタイプ」など、子どもには数多くのタイプが存在することがわかります。授業や指導は、こうしたそれぞれのタイプに柔軟に対応できる、フレキシブルな仕組みでなければいけません。そのためには、教科の授業を、子どもたち一人ひとりの「得意」や「特性」に合わせて編成した小集団で行う必要があります。そのことの意義について、筆者のかつて経験した例を挙げて説明したいと考えます。しばらくの間、年長の生徒の話になります。


 数学の授業風景です。
 アルファクラスでは、正負の数の「『マイナス』とはそもそもどういうことなのか」ということについて議論しています。O先生が子どもたちに指示します。「諸君、『マイナス』ということについて気がついたことや知っていることを紙に書いて、白い紙に貼ってください」
 グループでは、みんなが考えたことや知っていることを紙に書いて、白い紙に張り出しました。
 先生が言います。
 「ではグループごとに、討議して、『マイナス』とは、どういうものか、意見をまとめてください」
 討議が始まりました。
 H君のグループでは、「引く」「失う」「劣る」「0より小さい」「減る」「反対の方向」などの紙が張られています。
 H君が気づきます。
 「こう見ると、同類のものがあるな」
 K君が言います。
 「そうだね。『引く』『失う』『減る』は、似たようなものだな」
 Sさんが言います。
 「『引く』『失う』『減る』は、『反対の方向』に進むことだわね」
 W君が、気づきます。
 「『劣る』は数学には関係ないな」
 H君が、言います。
 「『0より小さい』は、どう考えればいいんだろう」
 Sさんが少し考えて言います。
 「『0』を基準にして考えればいいんじゃないかしら。つまり、『0よりさらに、引いた数』とか、『0よりさらに、減った数』とか」
 H君が言います。
 「なるほど、それなら、矛盾しないね。じゃ、おれたちのグループとしては、『マイナスとは、数がプラスとは反対の方向に進むことでもあるし、0より小さい数を表す記号でもある』ってことでいいかな」・・・・・

この、アルファクラスで学んでいる子どもたちは、物事を根本から考えるタイプの子どもたちです。これらの子どもたちに、『−○×−△』が『+□』となることの理由がすでにわかっていると思い、計算のスピードを上げることを目的とした学びをさせると、彼らの力や優れている力を伸ばすことはできません。数学という教科の一番面白いところを味わわせることもできません。しかし、彼らは、数学という学問のエッセンスを味わう本当の素質を持っているのです。


続く・・・