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副室長コラム 数学の授業風景(2/3)

つぎは、ベータクラスです。
 ベータクラスでは、「−○×−△=□」になるのは、なぜか考えています。各グループから考えたことが発表されています。
 A君が、彼のグループを代表して発表します。
 「『−』の記号は、数の進み方の方向を反対にする記号ですから、『−○×−△=□』だと、今まで、マイナスの方向に向かっていた数が、マイナスの反対の方向、つまり、プラスの方向に向かうことになります。だから、『−○×−△』は『+□』となります。」
 H先生が評価します。
 「なるほど、すごいね。その考えは、高校で学ぶ『ベクトル』につながるものだよ」

 今度は、Tさんが、彼女のグループを代表して発表します。
 「先生の髪の毛についての話をします。私たちは、一日に100本ずつ増えていきます。これは、増えるんだから『+100』です。先生の場合は一日に100本ずつ減っていきますから、『−100』ですよね」
 H先生が言います。
 「う、うん。まあ……そうだな」
 「さて、日付は前に進んでいきます。これはプラスですよね。逆に日付をさかのぼる場合はマイナスになります。今から一週間前は、『−7』です。では、一週間前には、先生の髪の毛は今より何本多かったでしょうか。それを式にすると『(−100)×(−7)=(+700)』ということになり、『−○×−△』が『+□』となることが説明できます」
 H先生が評価します。
 「これもすごいね。この説明は、君たちのすでに知っている知識や考え方を使っての説明だ。こういうふうに、君たちがすでに知っている知識や考え方を使って考えることは、とても大事なことで、それを『思考』というんだよ。でも、ワシの髪の毛は例に使うなよ。気にしているんだからな」

 ベータクラスの子どもたちは、既得概念や知識から、問題となっていることを論理的に説明していくことに向いている子どもたちです。これらの子どもたちも、アルファクラスの子どもたちと同様に、『−○×−△』が『+□』となることの理由がすでにわかっていると思い、計算練習のスピードを上げることを目的とした学びをさせると、彼らの力や優れている力を伸ばすことはできません。数学の面白み味わわせることはできません。しかし、彼らも、数学のエッセンスを味わう素質を持っています。


続く