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副室長コラム 数学の授業風景(3/3)

授業風景
さらに、ガンマクラスをのぞいてみましょう。
 ガンマクラスでは、正負の数の計算問題と「魔方陣」を解いています。時間を計って解くスピードを上げています。
 デルタクラスでは、正負の数の文章題を解いています。

ガンマクラスやデルタクラスの子どもたちに、アルファクラスやベータクラスのような、根本から考えたり、既得知識や考え方から、論理的に演繹したりするような学びを行ったら、子どもたちは退屈して数学の学びがつまらなくなってしまうでしょう。こちらの子どもたちには、どんどん問題を解かせたり、難しい問題に挑戦させたりしなければなりません。

 このように、子どもたちの素質、得意、既得知識や考え方からの演繹的な理解に適合し、それらを思いっきり伸ばすために、あるいは、得意に子どもたちを更に伸ばすために、は、習熟度別の授業が必要です。

 ところで、認知心理学によると、人の知性は「言語的知性」「論理数学的知性」「空間的知性」「身体運動的知性」「音楽的知性」「絵画的知性」「社会的知性」「感情的知性」と8つあると言われています。これらの知性を総合的にまとめて、コントロールするのが「自我」ですが、各知性は国語、算数など教科に対応する側面をもっているようです。そして、この8つの知性はそれぞれが並列して存在し、それぞれが独立して働きます。また、他方では、ある知性の発達が、他の知性の発達と相互作用し、知性全体を変容させ発達させます。そして、さらには、自我の在りようも発達していきます。
実は、こういうことは、今から2300年も前からわかっていました。アリストテレスは諸感覚とそれらを統合する「共通感覚」というものに着目していました。これは、16世紀のイギリスの哲学者で近代科学の方法の礎を築いたフランシス・ベーコンの「コモン・センス」や、演繹法を哲学的に基礎付けた、フランスのデカルトの「ボン・サンス」に継承・発展され、ドイツの哲学者のカント「統覚」、ヘーゲルの「理性」を介し、現代に受け継がれ、実験により科学的にも裏づけられてきました。
 一方で、8つの知性のそれぞれをその特性や到達度に応じて、それにふさわしい方法で伸ばし、それによって他方では。知性全体を変容発達させていく、「自我」を発達させていくために、各教科は習熟度別の授業が必要なのです。子どもたちは、それぞれ自分たちの素質に合わせて、各教科異なったクラスで学びます。英語が得意ならこのグループ、基本を学びたい国語はこのグループというふうに。
 マルチな授業を可能にする教材開発の力が教師には厳しく要求されますが、知性はひとつだけでなく、複合的にいくつも発展させることは可能です。いずれにしても「得意を伸ばす教育」は、子どもたちが成人し、社会に出た後、活躍できる道をひらくことにつながると確信しています。