●学校とは、学びのコミュニティである。(Making The PYP happenより)




こんにちは、開智望小学校準備室広報担当の野口です。
いつも開智望ブログをご覧いただきありがとうございます。
このブログは、毎回開智望小学校の教育について、紹介しております。


「せんせい、○○ちゃんがチクチクことばをいってきました。」

※チクチクことばとは、人を傷つけるような「バカ、アホ」などの言葉。


「せんせい、○○ちゃんが掃除をきちんとやってくれません。」


1日に1回は子どもたちから、こんなことを言われます。

1年生になるまでは、幼稚園や保育園に行っていたとはいえ、ほとんどの子が自分中心の世界を経験しています。

お家の方に愛され、やさしくやさしく育てられてきたお子さんたちが一気に社会に入るわけです。


5月の球技大会前はドッチボールの練習をさかんに行っていましたが、
1年生や2年生を枠の中に入れてボールをよける練習をする。

1年生にとっては、恐怖だったかもしれません。


子どもたちは、友達との関係やクラスという集団の中でだんだんと社会に出る準備をするわけですね。

 

1人だけの世界で自分中心でいれば、他者とぶつかったり、傷ついたりすることもありません。
しかし、大人になれば多くの人とかかわって生きていかなければなりません。


このギャップを埋める最初のステージが小学校になるのです。


「そんなこと、いわれなくてもわかっている」という声が聞こえてきそうですが、
今回は、改めて学校とはなんなのか?を考えてみました。

 

 

さて、国際バカロレア初等教育プログラムPYPのカリキュラムでは、
しばしば、学校とは学びのコミュニティであるといわれます。


その「学びのコミュニティ」とはどんなものなのでしょうか?


3つの側面から考えました。


1.Formの側面から考える「学びのコミュニティ」


まずは、Formです。

「学びのコミュニティ」とはどんなものか?


コミュニティを類語辞典で調べると、

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人間の交流・関係

繋がり ・ 人脈 ・ 人間関係 ・ 交際関係 ・ コミュニティ ・ 交流関係 ・ 人間関係のしがらみ
・ 複雑な人間関係 ・ 人のしがらみ ・ 交流の輪 ・ 交友関係 ・ 友達の輪 ・ 世間のしがらみ

共同体
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これらの言葉が出てきました。


交流、交友などに加えて「しがらみ」というワードも出てきていますね。

コミュニティとは他者と自分で構成される2人以上のグループですので、
もちろん、気が合わない人、どうも理解しがたい人も含まれるようです。

 

では、次に語源に迫りましょう。

 


○コミュニティの語源


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ラテン語の「munus」は、「贈物、賦課、任務、職、義務、成果、
好意、祝祭時の演出」といった意味を持つ。これに、「相互の、共同の、共通の」
などを意味する接頭辞の「co-」が付くと、「communitas」というラテン語の大
枠が形作られる。先述の通り、これが「community(英)」や「communaute
(仏)」の直接的な語源で、その意味を考えると、相互の贈物、共通の賦課、共
同の任務や職、相互の義務、共同の成果、相互の好意といったところになろう。


(参照:http://www.kobunsha.com/special/sinsyo/member/serial/pdf/ns005_sm0022.pdf

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お互いに学び合うこと。意見を交換することで贈り合う組織。


だんだんとコミュニティというものが理解できてきました。


あらためて辞書を引くと、

コミュニティとは、次の通りです。

居住地域を同じくし、利害をともにする共同社会。町村・都市・地方など、
生産・自治・風俗・習慣などで深い結びつきをもつ共同体。地域社会。

(参照:http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/82070/m0u/


2.Changeの側面から考える「学びのコミュニティ」


学校とは、訓練の場である。学校とは、武道の道場のように、心身を鍛え上げるものである。

昔は、こんな思想があったのかもしれません。
再三説明会でお伝えしている通り、20世紀までの社会では、訓練や道場のような思想で
子どもたちを鍛え上げていればよかったのでしょう。


しかし、世界規模でさまざまな解決困難な問題がおき、変化がめまぐるしい世界では、
そうはいきません。

 

コミュニティとしてのメンバーが1人1人知恵を絞り、足し算以上の相乗効果を全員で発揮しなくてはならないのです。


それによって、どう学校は変わるのでしょうか。

教師は権威ではなく、1リソースに過ぎません。
子どもたちは何も知らない存在ではなく、すでに何かを知っている存在です。
教科書の記述は答えではなく、現時点での人類の智です。
勉強は強いられるものではありません。主体的につかみとっていくものです。


こうして、学びのコミュニティが見えてくるわけです。

コミュニティという言葉が表すとおり、そこには上下関係はありません。
イメージとしては、横のつながりです。
もちろん、お互いが感謝や協力などの態度を身に付けているため、年長者を敬う姿勢は不可欠です。

 

他方。


子どもたちの学びという観点でも、「学びのコミュニティ」は効果があります。


ラーニングピラミッドをご存知でしょうか。
(参照:http://tankyugakusha.jp/concept/

人は、講義を受けるよりも、実験をする方が記憶が定着化します。

さらに、グループ討論をしたり、体験した方がより記憶が定着化します。

一番いいのは、人に教える経験です。

子どもたちが、話し合い協働(協同)学習で得た知識や理解を、みんなに教える。

そんな体験をすることが、一番の学びになるのです。

 


3.Reflectionの側面から考える「学びのコミュニティ」


教師や保護者など、子どもたちを支える側としては、
「学びのコミュニティ」として成熟度を高める必要性があります。


次のコミュニティの成長段階に合わせた支援が必要となるのです。

 

○チーム発達の4段階

1.結成期:チームが結成されたばかりで様子見
2.混乱期:意見がぶつかり合い、対立、混乱する
3.規範期:個人の役割とルールが明確になり、目標を設定する。
4.達成期:チームの能力が発揮され、成果が生まれる。
(参照:http://melmic.org/company/purpose/team4step/


チームとは、結成まもない頃は、お互いの様子を見て、さぐり合います。
自分のポジションや組織としての空気感に敏感なのは大人だけではありません。


次第に、意見が出始めると対立や混乱が生じます。
学校でいうと、初めての課外活動などで、ケンカが起きることが挙げられます。


そして、個人の役割が明確になっていきます。
私はリーダーシップを発揮してもいい。私はサポート役に徹する。
相互理解が深まり、個々人の居心地もよくなります。


最後は、達成期です。成果が出始め、メンバーは自信を持ち始めます。


以上の発達段階を把握し、適切な対処をすることが大切ではないでしょうか。


最初から、学びのコミュニティを短時間で作るのは容易ではありません。
時間をかけて、じっくりと、そして混乱を乗り越えてこそ、
本当の学びのコミュニティができるのです。


◎最後に、

今回は3つの側面から「学びのコミュニティ」について考えてみました。

社会の入り口である小学校に、皆様のお子さんが入学されて、
いきなり「学びのコミュニティ」の一員となるのは容易ではありません。


教員と保護者の皆様が手を取り合い、子どもたちの成長段階に合わせて
さまざまな支援をしていくことが必要ではないか?とこのブログを書きながら改めて
気づいた次第です。

 

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。

毎回、つたない文章であることをお詫びいたします。


それでは、また一週間後にお目にかかりたいと存じます。

野口