子どもにとっての「のっぴきならない」ことを見落とさないために







こんにちは、開智望小学校準備室広報担当の野口です。
いつも開智望ブログをご覧いただきありがとうございます。
このブログでは、毎回開智望小学校の教育について紹介しております。


・最近の開智望小学校トピック:11月24日 学校説明会


http://www.kaichigakuen.ed.jp/nozomi/index.html

こちらのHPに詳しい内容がありますが、11月24日に学校説明会を開催することになりました。
平成27年4月入学希望者向けの説明会ですので、ぜひご興味がある方は予約フォームにて登録いただいた上で
ご参加いただければと思います。



・国際バカロレア初等教育プログラム(PYP)のスキルについて

開智望小学校で実施する予定のPYPでは、子どもたちが身に付けるべきスキルが明示されています。

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PYPが提示する教科融合スキル(transdisciplinary skills) とは?
プログラムを通した学習において、児童は教科枠を超えた一連のスキルを身につけます。教科融合ス
キルとは、人間関係スキル、コミュニケーションスキル、思考スキル、リサーチスキル、自己管理ス
キル(図表8参照)を指します。これらのスキルは全て、探究の単元に限らず、指導や学習を進めて
いく上でも、また私生活においても非常に価値の高いものです。

※出典:帝塚山学院教職員Making the PYP 翻訳
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その中で今回は〔自己管理スキル(Self-management skills)〕について考えてみたいと思います。

自己管理スキルとは、以下の通りです。

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●総合的な運動スキル(Gross motor skills)
力強さが求められる課題に対して、大きな筋肉を効果的に動かすことができる。
●細かい運動のスキル(Fine motor skills)
正確さが求められる課題に対して、繊細に筋肉を動かすことができる。
●空間認識(Spatial awareness)
物体同士の位置関係を考え、繊細な神経を持って配置を考える。
●準備周到(Organization)
綿密な活動計画を立て、効果的に実施する。
●時間管理(Time management)
時間を効果的かつ適切に使う。
●安全(Safety)
危険や高リスクな状況から、自分や他者の身を守るための行動を取る。
●健康的なライフスタイル(Healthy lifestyle)
栄養管理、休息、リラクセーション、エクササイズをバランスよく行うため、様々な情報を取り入れた選択を行う。
衛生管理と自己管理を正しく適切に実践する。
●行動規範(Codes of behaviour)
集団の中でのルールや手順を知り、適切に対応する。
●納得のいく選択(Informed choices)
事実や意見をもとに、状況に適した行動や振る舞いを選択する。

※出典:帝塚山学院教職員Making the PYP 翻訳
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新浪剛史さん?!

私は、この項目を見ているとローソンの社長さんを思い出します。

テレビや雑誌でも取り上げられるカリスマ社長です。

朝5時からランニングをして、野菜ジュースを朝食にし、会社ではバリバリ意思決定をする。
そんな姿が容易にイメージできます。

あなたの周りにも、この自己管理スキルを身に付けた「鉄人」のような人はいますか?

とっても仕事ができるのに、休日も趣味に遊びに充実していて楽しそうな人が1人は思い浮かんだのではないでしょうか。


親としても教師としても、子どもたちには

朝きちんと起きて、家の手伝いをし、宿題に進んで取り組み、社会のルールを守るような自己管理スキルを身に付けてほしい、
と願っているはずです。


・では、このような自己管理スキルを子どもたちに身に付けてもらうにはどうしたらいいのでしょうか?

今回は2つ紹介したいと思います。


1.PDCAサイクルを回す

Plan・Do・Check・Actionの一連の流れは社会人としては当然のごとく実践しているサイクルではないかと思います。
しかし、意外と実践することは難しいですね。


たとえば、ハロウィンパーティーを開催するという子どもたちのイベント。

ここではPDCAサイクルを意識して、自己管理スキルを高めることが可能です。

<Plan>
⇒どんな風に時間を使おうか?(Time management)
⇒どんな風に教室を使おうか?(Spatial awareness)
⇒どんな遊びをしようか?その中で危険なことはないだろうか?(Safety)
⇒一部の人だけではなく、全員が楽しめるようなパーティーとはどのようなものか?(Informed choices)

ここで考えたことを踏まえて、

宝探しをしたい!イス取りゲームをしたい!ジェンガをしたい!こうしたアイディアが出ます。

そして

<Do>

実際に「学活の時間」を使ってハロウィンパーティーを開催します。


<Check>

Planのときに、思い描いたとおりのパーティーができたのか振り返ります。

「やっぱり時間が足りなかったね。2分で宝探しはできないし」

「椅子取りゲームをするには教室が狭かったね」

「椅子取りゲームで突進する人がいて安全とはいえなかったかもしれない」

「全員が楽しかったか調べる必要があるね」


子どもたちはこうして活動を振り返ります。

<Action>

最後に、

ハロウィンパーティーの振り返りとして、アンケートをとったり、

次回の行事につながる気づいたことを蓄積します。


もう一つです。

2.手帳によるToDo管理


ToDoリストをご存知ですか?

メモや付箋などに、これからやらなければならないことを箇条書きにすることです。
中にはToDoだと「しなければならないいやな事」という潜在意識が生まれるから Want to doリストとする人もいますね。


私は、一週間の見開き手帳に、その日にやらなければならないことを書きます。
そして、順番を考えて、実際に行ったら黒く塗りつぶしています。
こうしたことを子どもにも行ってほしいな!と常々思っています。

余談ですが、
学生時代に小学校6年生のお子さんの家庭教師をしていましたが、
このやり方で1週間の時間の使い方とToDoリストを実践しただけで
偏差値が20も上がりましたので多少の効果は実証済みです。


子どもたちは「塾の宿題が終わらなくて、学校の宿題を忘れました!」「土日出かけていて、宿題をやる時間がありませんでした」と
時々私に言ってきます。


こうしたことを減らすために1週間分の予定を子どもが組むようになれば、自己管理スキルは身につくのではないでしょうか。



自己管理スキルが高まれば、時間の使い方が上手になり、生産性が上がります。
また、自分の生活に対して気づきが多くなるので、時間を浪費することも減ります。
さらに、適度に休憩をとったり、本当に好きなことに時間を使えることになるのではないでしょうか。


・そもそも なぜ自己管理スキルを身に付けなければならないのでしょうか?

世の中的に教師の仕事は多忙といわれています。

朝早くから学校に行き、授業や生徒指導に休憩も取れず、放課後は会議や事務作業に追われる・・・
そんなイメージがあるのかもしれません。
しかし、中には定時である5時くらいに帰宅し、子育てと上手に両立されている先生も数多くいます。


保護者の皆様の周りにも、自己管理スキルを身に付けて時間を有効に活用している方もいれば、
そうでない方もいると思います。


私がここで申し上げたいことは、大人になっても自己管理ができるひともいればできない人もいるということです。


しかし、自己管理ができないと・・・・・お子さんたちにとっては非常に困ったことが発生します。


「先生はいつも忙しそうで怒ってばっかり」
「お母さんはため息ばかりついている」
「お父さんは、またお酒によって深夜に帰ってきて、とっても心配」






漫画『鈴木先生』には、こんな一節があります。


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見落としてはいけない
人知れず摩耗している生徒の存在を
彼らが出す小さなシグナルを
さあ、今日も精一杯教師をやろう


漫画『鈴木先生』より
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自己管理スキルが身についていないと、


いつも疲れているか、怒っているか、機嫌が悪くなります。
仕事に追われ、そこによってミスも増え、上司に叱られたりします。


大人は、居酒屋でビール片手に憂さ晴らしができますが、子どもたちには逃げ場がありません。



私自身、廊下で「ねえねえせんせー」と子どもがよってきても、

「ちょっと待ってて!今忙しい」といって逃げてしまったことがないとは言い切れません。


タイトルに戻って、

子どもにとっての「のっぴきならない」ことを見落とさないために

私たち教師や保護者は、自己管理スキルを身に付けなければならないのではないか?

そう思えてなりません。

子どもたちが発する「助けて」「ほめて」「認めて」「分からない」というシグナルを見落とさないために、

私たちは自己管理して常に上機嫌で心に余裕がなくてはならないと思います。(実際にはとっても難しいですが・・・)




・もう一歩〔自己管理スキル(Self-management skills)〕を考える


最近本屋さんで山積みされている小説『ソロモンの偽証』を読破しました。

文庫本6冊の長編です。

こんなに長い小説を読んだのは学生時代の『坂の上の雲』以来です。


来年映画化する予定ですし、読み出したら止められない傑作ですので、ぜひ一度お読みいただきたいですが、

その5巻にこんな一節があります。

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「物事を深く考えたり、何かを学んだり、何かを身につけたりする志向がなく、ただただ刹那的な楽しみを求める。
楽をしたり、だらけたり、面白そうなことにだけ注意を向けて、未来に対する展望がない。脊髄反応的に生きている。
それは人間ではない、ただの”生きもの”に過ぎないということを卓也は言いたかったのだと思います。」

宮部みゆき『ソロモンの偽証』第5巻 180頁

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自己管理スキルがないと、人はどんどんだらけて、長期的な展望よりも短期的な快楽を求めるようになります。

私の大学生活を振り返っても明け方5時まで起きて、昼に起きる。そして花王愛の劇場を見てから、
結局ドラマの再放送を見るという絶望的生産性ゼロの夏休みを思い出しゾっとします。


今回のブログを通して、少しでも自己管理スキルの大切さが伝わればうれしいです。


そして、ここでお読みいただいているあなたに質問です。


「果たして知識を伝達する授業だけをやっていて子どもたちに自己管理スキルはつくのでしょうか?」
「決められた時間割や教師から一方的にやらされた行事をいやいやこなしていて子どもたちは自己管理なんてできるのでしょうか?」


一般的な実証主義の教育を受けていれば、

確実に大学に入ってゼミや卒論など、自己管理スキルが求められるところで躓きます。

そこを何とか掻い潜っても

研究職についたり、営業職についたり、社会の一線で働くときに、絶対に躓いてしまいます。


そして何より、自己管理スキルがなければ、自分の人生を主体として、有意義に生きることが難しくなり、

単なる”生きもの”になってしまう危険性すらあります。





開智望小学校では、スキルの重要性を理解した教員団が

探究の授業を中心に、子どもたちが主体となって協働する学習カリキュラムを実施することで

確実に自己管理スキルをはじめとしたPYP 教科融合スキル(PYP transdisciplinary skills)を高めます。

「実際にどうやってスキルを高めるのですか?」と疑問をもった場合は、

ぜひ、

11/24(振替休日) 14:00〜16:00の説明会に足を運んでください。






・まとめ

★開智望小学校で実施する予定のPYPでは、子どもたちが身に付けるべきスキルが明示されている。
★自己管理スキルは社会人として生きる上でとても重要なものである。
★自己管理スキルを身に付ける方法としては、PDCAサイクルや手帳管理などがある。
★自己管理スキルを大人が身に付けていないと迷惑するのは子どもである。
★自己管理スキルがないと、主体的で有意義な人生を歩むことは難しい。



ずいぶん長文で多少取り留めのない内容になってしまったことをお詫びいたします。


それでは、また来週のブログでお目にかかりたいと存じます。

最後までご覧いただきありがとうございました。