●子どもたちにとって知的に刺激的な教室環境とは何なのか

こんにちは、開智望小学校準備室広報担当の山�浮ナす。
いつも開智望ブログをご覧いただきありがとうございます。
このブログでは、毎回開智望小学校の教育について紹介しております。

中国の古典に「孟母三遷」という教えがあります。

この言葉を思い出すと、授業のたびに「昔の人も同じように考えていたのだなぁ」と感慨深くなります。。

孟母三遷」の伝える「教育において環境の果たす役割が大きい」ということをもう少しミクロな視点に落として探究活動を通して見えてきた「教室環境」についてご紹介したいと思います。

「先生〜、今日は前の続きだよね?」

ある日の探究の時間はこの声から始まりました

「そうだね、続きだよ」


すると、早く来たその子を中心に子どもたちは自分たちで前回同様の「話し合いの形」に机を並べ替え出しました。


探究の活動は、全体での時間、グループでの時間、個人活動の時間と様々なレベルの活動が織り交ぜられますが、それぞれに適した「教室環境」があります。


探究活動が終わるころには、子どもたちはそれぞれの活動に応じて自分たちで机やいすの配置を変えるようになりました。


子どもたち自身がその経験の中でベストな「教室環境」を見つけていった証拠です。


こうなると、教員は少ない時間の中でプロジェクターやプリントの準備を行え、そして、しみじみと子どもたちの「小さな」成長を感じるのでした。

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探究活動では様々なコンセプトやシンキングツールが用いられます。
(それらに関しては過去のブログをご参照ください)


これらコンセプトやシンキングツールの使用方法が書かれた大きな壁張りも探究活動の時間には欠かせない「教室環境」の1つです。


難問にぶつかると壁に貼られたコンセプツに戻って、もう一度考え直してみる。壁張りを見てベストなシンキングツールを使ってみる。


壁張りをつくることで、学びは一層、子どもたちにとって主体性の高いものに変わっていきます。


また、あるグループの男の子は、前の黒板にプロジェクターで投影された「探究活動のルーブリック」に照らして、「今この班は、話し合いがうまくいってないよ。ルーブリックの�Aのとこだよ」とグループメンバーに声掛けを行い、話し合いをまとめる道筋を示しました。


 ※この日のルーブリックは「協力する」で、内容は4段階に分けられ「�@できていない〜�C班で協力し、1人の意見だけでなく課題を立てることができた」と漸次的に評価基準が示されたものでした。

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私自身が最も意識している「教室環境」は、「教室の中に「世界」をつくること」です。

例えば、今回の探究活動のテーマはバカロレアの定める6つの教科融合テーマのうち「How we organize ourselves」で、「人間と人間の作ったコミュニティーとの関わり」でしたが、


壁には古い外国の地図があり、教室前方におかれた教卓には様々な人物の伝記本や、歴史の図説が置かれます。


さらに、地図の横にはとある公共施設の建設段階の図面やアメリカのエアーコンディショナーのポスター、古い鉛筆削りなど雑多なものが用意されます。


これらの一見すると「関係のないもの」や、普段の生活の中で「見過ごしてしまいそうなもの」


これらが有機的につながってこそ「人間と人間がつくったコミュニティーとの関わり」があぶりだされるのではないでしょうか。


また、同時に、そのうちの何かが子どもたちにとっての「刺激」となり活動を推し進めていくのではないでしょうか。


普段の様子とは異なる教室の中に、探究独特の世界が広がる。その中で子どもたちは徐々に人間と社会との関わりを学んでいきました。


ある女の子は、5メートルほどある原始時代から現代までの巨大な世界中の歴史が書かれた年表を前にして、「ガリレオ・ガリレイが生まれたのがたぶんこの辺で(この子はガリレオについて探究を進めていましたが、16世紀ごろのガリレオと思われる小さな人が望遠鏡をのぞく絵を指さして)…意外と最近の人だよ。だって昔より今に近いもん」と教えてくれました。


歴史を俯瞰して自分たちの時代を見るのは、大人でも難儀なものです。


しかし、教室におかれたその年表の中で、ガリレオ・ガリレイという人物を起点に人類の歴史を過去未来双方向にみると、近世という時代は人類の歴史の中で近代・現代への入り口ともなった時代であることがわかります。いまはまだぼんやりとした認識であっても、その子が気づいた「(ガリレオ・ガリレイの生きた時代は)昔より今に近い」は今後、学年が上がるにつれて歴史を学ぶ中できっと大きな財産になるはずです。


「小学2年生には少し難しすぎるかな?」と考えながら置いておい英語の年表が、教室という狭い空間の中で、その子にとってそれ以上の広がりを見せていることがわかり、つくづく「子どもたちはこちら想像を超えていろいろな刺激を受け、考え、自分の認識を組み立てている」ことを感じました。


開校までもう間もなくとなりましたが、どんな教室でどんな刺激を受けて子どもたちが世界へと羽ばたいていくのか…

子どもたちにとって「(知的に)刺激的な」「教室環境」とは何なのか、しっかり考えて準備していきたいと思います。


「子どもたちは答えてくれる」と深く感じた探究の1コマでした。