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【コーディネーター便り】豊かであるとは・・・・1週間を振り返って

教育観





コーディネーターの北村です。
前回の「学校通信」に引き続き、今月の目標の《学びの仲間の相互理解と学びのコミュニティー作り》です。これを具体的には、「�@学校生活の基本的な姿勢を学ぶ、�A学校発見する、�B学びの基本的な姿勢を身につける」に沿って、それぞれのクラスの学びの中で、子どもたちは、どう変化しつつあるかを振り返ります。

○大きな変化に驚きました!
・・・ConceptsやSkillsによる学びがAttitudeの変化に
まず、先週から今週にかけての一番大きな変化について報告します。それは、学校生活の基本的な姿勢を学ぶについてです。
「キャー、キャー」という興奮した声が少なくなってきました。トイレの中の大騒ぎもなくなりました。その代わり、先週、落ち着かなかった児童が、他の児童の面倒を見ています。今、何をすればいいかわからなくなっている児童の面倒を見ています。「○○くん。今はね、〜〜するんだよ。」「今はね、本を選ぶんだよ。図書館へ行こうよ。」
これには、ちょっとびっくりしました。同時に、年を取ったため涙腺のゆるくなっている私は、つい・・・・。
先週の探究の学びの中での、さまざまなことについての知識の獲得やルール作り、10のLearner profileについての探究、Concept baseの学びが今週になって少しずつ子どもたちの態度や行動に表れてきています。

○生活科の授業にFoam やFunctionを活用
・・・Concepts base learningになれ始めました。
では、つぎに、「�B学びの基本的な姿勢を身につける」に関して、です。これは、先週から、Concepts Skillsを使って対象を理解することを目標に探究の学びをやってきました。今週に入って、子どもたちはどう変化してきたでしょうか。また、態度や行動にはどんな変化が現れたでしょうか。

○1Aの「生活科」の学び、担当は山中さん。
ボトルのようなものがBENQ(電子黒板)で映されました。
「これは何だ?」・・・・「コップだ!」、「ワインボトルだ!」、「パンツ丸見えだ!」(これは○○くんのおふざけですが、「なるほど、そうも考えられる」というような依然として顔で山中さんは対応。)
子どもたちはFormから、このなぞの物体を考えています。
次に、「正座早見盤」のようなものが映し出されました。
「あ、これ、時計だ!」「これ、何月何日ということもわかるよ!」
この段階では、Functionから、この対象を捉えています。
 さらにその次、「お盆の上に三角形の板を立てた物体」が現れました。子どもたちは、自分の既得の知識の中から、これを説明できる知識をたくり寄せています。かなり必死になっています。先週は、自分の置かれている状況を自覚できずに、キャー、キャー言って騒いでいただけだった子どもたちが、今日は大変真剣に考えています。「時計」に対する知的好奇心が大きく膨らみ、爆発寸前です。
大変驚きました。いやはや彼らの成長は目覚しいですな。
しかし、他方で学びも工夫しています。
先週から「探究の授業」で子どもたちに使わせてきたConceptsを用いて考えています。・・・・Concepts based learning、開智望小学校とIBの学びの一番大きな目的です
 もちろん、野口君も、山�阜Nも、三島さんも、五木田君も、「Formを使ってみてごらん」だの「○○のFunctionはなんだろう」などという学びをやったわけではありません。そんなことをしたら一年生や二年生の子どもたちは混乱してしまうだけでしょうな。
 実は、ConceptはQuestionによって操作されるんです。
 たとえば、FormはWhat is it like?というQuestion、つまり、「これは何に似ているの?」とか、「これは、どんなものなの?」という「質問」によって、Formは操作されます。これと同様に、FunctionはHow does it work?というQuestion、つまり、「これはどのように働くの?」という「質問」によって操作されるんですな。
 そういう、「質問」をベースにした探究を、教師たちは先週から徹底してきたんです。それが先週の学びの重要な目的の一つだったんです。
 それが、今週になると、いわば「オープン・エンド」に利用可能に利用可能になってきたんですな、四月の学びの目標の一つであった、一年生・二年生でもできるConcepts based learningを習慣化することが、早くも実り始めていたんですぞ。しかも、それを子どもたちは、目を輝かして楽しんでいます。大変うれしいことです。

○「比較」−Formのrelated conceptの利用
・・・どんどん高まる探究心(InquirersやThinkers)に向かっていく
二年生と1Cの生活科の学び
 BENQで地図が映し出されています。ユーラシア大陸の地図です。徐々にフォーカスしていき、ヨーロッパ、東欧、ハンガリーが出てきました。子どもたちの頭の中に、ハンガリーの位置がすえられていきます。城が映し出されています。どこの町、どこの城でしょう。ブダペシュトにある、「ハンガリー国立図書館」です。子どもたちは大変真剣に見入っています。知的好奇心が膨らみきったところで、山�浮ュんは今度は、「大きなプールのようなもの」が備えられた建物の画像を映し出しました。これは、二年生の「生活科」の学びです。
 子どもたちは言います。「プールだ、プールだ。」
 山�浮ュんが言います。「実は、プールじゃないんだよ。」
「じゃあ、なんだろう?」「お風呂かな?」「お風呂がこんなにでかいわけないよ。」
 山�浮ュんが言います。「温泉だよ。これは、ハンガリーで一番大きな温泉なんだ。」
「デツカ!」「誰かが泳いでいるよ!」
山�浮ュんが言います。「日本の温泉と比べてどう?」・・・これもFormsと関係するQuestionです。
ちょっと脱線しますが、昨日、1Cの「生活科」の学びで、担当の安部さんが、音楽室をFormやFunctionから考えてみようということになりました。このとき、安部さんは、まず、音楽室で子どもたちと、思い切り大声で「ワーッ」と声を上げました。実はこのとき残響はほとんどありませんでした。しかし、子どもたちはそのことには気づいてはいません。つぎに、安部さんは、廊下をはさんで向かい側の図工室に子どもたちと一緒に行って、やはり思い切り大声で「ワーッ」と声を上げました。残響が残りました。再び、音楽室に戻り、みんなで「ワーッ」と大声を上げると・・・・残響は残りません。ここで、はじめて子どもたちは気づきます。音楽室には残響があまりないことを。「あれ、響かないよ。」「もういちどやってみよう。」「なんで、音楽室は響かないのかな?」・・・子どもたちは次第に「問題」を絞ってきました。・・・これは、探究活動の一番初めのFormulating questionです。これはまた、子どもたちの探究の強い動機付けにもなるんです。一番重要なところです。ワクワク感が高まってきます。
このあと子どもたちは、それぞれ、シートを持って音楽室の中をリサーチし始め、残響の残らない「仕掛け」を見つけて、Recording dateをやっています。
ここでは、二年生の「生活科」と同様に、「〜〜と比べると」というFormの関連概念を効果的に用いさせています。
閑話休題。二年生の探究に話を戻します。
「比較」により、ハンガリーの温泉に対して大変高い好奇心を持った子どもたちに、山�浮ュんは「この温泉のことを、バドフシ・セーチェーニって言うんだよ」と説明しました。大変高い好奇心を持った子どもたちは、当然質問します。「山�浮ュん、それって、どういう意味?」
山�浮ュんは、すべてを答えません。「バドフシって、お風呂のことだよ。」すると、子どもたちは、「じゃ、セーチェーニって『大きい』という意味かな。」「実は、人の名前なんだな、これが。」「じゃ、きっと大きい人だよ。」・・・・どんどん思考は発展していきます。
子どもたちは、あっという間に、マジャール語の「Good morning」の「ヨーナポト・キーヴァーノク」を覚え、翌日から使い始めた子どもたち。恐ろしい集中力と記憶力ですな。知的好奇心が高まると、子どもたちはすごい力を発揮します。すごいですな。
これは、「生活科」の学びなのですが、「探究」と同じやり方でやっています。この探究の中から、子どもたちは少しずつ、10のLearner profileの中のInquirersやThinkersに成りつつあるんですね。
 ちなみに、InquirersやThinkersとはどんな人かを国際バカロレアの翻訳で紹介いたします。


Inquirers 生来の好奇心を育みます。調査と研究を行うために必要なスキルを獲得し、
自主性を発揮しつつ学習します。主体的な学びを楽しみ、この学びの喜びを
生涯を通じて持ち続けます。

Thinkers  複雑な問題を認識し、それに取り組み、筋の通った倫理的な決定を行うため
に、批判的かつ創造的に考えるスキルを積極的に応用します。

職員室の入り口の廊下で、1Aの男子につかまりました。

○どっちに曲がるの?・・・算数「昼学」で深まっていく認識
Conceptsやskillsの応用application
 水曜日の「昼学」の時間です。「昼学」というのは、昼食と食休みのあと、毎日15分間、算数のトレーニングをする時間のことです。どこのクラスも、昼学をやっています。
 プリントには、紙コップに墨を塗って転がすと、どんな模様になるかという問題が書かれていました。子どもたちは仮説を立てます。

                  長方形と扇形

仮説はこの二つに絞られていきます。ここが大事なところなのですが、開智望小学校の学びは、「昼学」であっても、算数であっても、仮説を立てるときには必ずその「理由」も発表してもらいます。長方形にした子どもたちは、「だって、鉛筆を転がすとこうなるもの」と説明しました。扇型にした子どもたちは、「ぼくも、鉛筆を転がしたら、こうなったもの」、「おうちでコップを転がしたときは、曲がって転がったよ。」と説明しました。ここまでは、子どもたちは、Formで考えています。
 教師たちが、私のところに来て、紙コップを要求しました。私は、コーヒーを飲むために用意していた紙コップをしぶしぶ彼らに渡しました。
 さて、いよいよ、実験です。紙コップは扇型を描いて曲がりました。歓声が上がりました。悔しがっている子どもたちもいます。
 ところが、これで終わりではありません。なぜ、扇型に曲がるのか、その「理由」Causationの検証も必要です。というか、こっちのほうが大事です。野口君や五木田君や鈴木さんは、もう一度子どもたちに、紙コップのFormをよく観察させています。・・・Research skillのObservingの徹底です。
 誰かが、「わかった! 上の丸い部分と、下の丸い部分の大きさが違うからだよ。」、するとほかの誰かが続けて、「コップが一回、回ると、上は、いっぱい進むんだよ。でも、下は、あまり進まないんだよ。」・・・こんなふうに、明瞭な言い方ではありませんが、子どもたちは一生懸命、自分の言葉で、こうしたことを説明していました。これは、FormからFunctionやCausationへの認識の深まりです。
 先週から、こうしたConceptsやSkillの使い方を学んできましたが、今週はConceptsやSkillについての一年生や二年生なりの「知識の獲得」Acquisition knowledgeや「理解」Comprehensionから「応用」Applicationの段階に深まってきました。こういうConceptsやSkillは、これからの学びの中で発展した形で繰り返し使われます。今週はこういう段階に進みました。
 驚くべきは、先週、興奮して飛んで歩いて、自分が何をしているか、ほとんど自覚していなかった諸君が、大変熱心に学んでいたということです。・・・探究的な学びのメリットが大変効果的に発揮されています。こういう子どもたちの姿にも感動しますな。

○What is this? ――― This is another bunny.
Art・・・Perspectiveから、Eggの中身を考えて
 1CのARTの学びです。ジョンと沼上さんのティームティーチング。大男のジョンは、子どもたちから親しみをこめて「ジョン子」と呼ばれています。私から見ると、大男のジョンのどこが「ジョン子』かいな。
 それはさておき、沼上さんが手のひらに、火のついたローソクを乗せています。子どもたちは、大変気になっているようです。「ねぇ、ねぇ、それ、本当に日がついているの?」実は、これは本物ではありません。中には電球が入っています。でも、そのおかげで子どもたちは、ジョンと沼上さんのほうに集中してきました。
 BENQで「本」が映し出されます。タイトルは・・・英文です。沼上さんが子どもたちに語りかけます。「Is that a happy Birthday present?」・・・子どもたちが大きな答えます。「No. That is the golden egg book.」。
 学びが始まると、BENQで「That is the golden egg book」のさまざまなページが映し出されます。子どもたちは、立ち上がって画像に食い入っています。RabbitとEggの画像が映し出されます。卵の中に何が入っているでしょうか。「ウサギだよ」、「これはゾウさんだよ。」ジョンが言います。「May be an elephant.」「May be another bunny.」子どもたちも、続けて言います。「May be ・・・an elephant.」「May be ・・・another bunny.」
 子どもたちは、こうして、だんだん英語を使い始めました。言葉はまず耳から入ってきて「言葉」として記憶され、蓄積され、「発語」されることで引き出され、身についていきます。それは、日本語であろうと英語であろうと同じです。重要なのは、それを知りたいと思う強い好奇心です。それさえあれば、言葉はいくらでも習得できます。そして、その後、徐々に文字で書き表すようになっていく・・・こういうプロセスが、言葉の習得のプロセスではないでしょうか。
 いま、ジョンと沼上さんは、いろいろな観点・見方Perspectiveから、英語の本の画像に対する子どもたちの関心を高めて、それを介して英語を習得させています。これは、対象の見方Perspectiveにつながり、ARTのConceptsの一つになるとともに、英語の語彙を高めることともつながっていきます。
 五月に入ったら、文字も学んでいくようになる予定です。

○Perspective(Conceptsの一つ)から、「数」を考える・・・同一性と差異性
IAの算数の授業
 「他と違うものを見つけよう」問題をやっています。BENQでさまざまな画像が映し出されます。「立ち上がっているネコ」「座っているサル」「カンガルー」「ペリカン」「ゾウ」などの絵が描かれた一枚の画像。子どもたちは、「カンガルーだよ。だって、おなかの袋で子どもを育てるもの」「ゾウだよ。四本足でたっているもの」「違うよ、鳥だよ。だって、飛ぶんだもの」・・・たいへん盛り上がっています。
 この学びは、この後どう展開していくのでしょうか。皆さんも考えて見ませんか。大変楽しみですが、実は、昨日、昼休みに一年生の二人が私のところにやってきて、「ねぇ、ねぇ、ケシゴムとニワトリって足すことができるかどうか、わかる?」と私に聞きます。私が困った顔をしていると、二人は「ケシゴムは一個、二個と数えるよね。ニワトリは一羽、二羽だよ。足すことはできないんじゃないの」と言うんです。これは「数」をConceptsの中のPerspectiveから考えているんです。Perspectiveとは、「知識というものは、観点によって、モデレートされる、異なる観点は、異なる理解、異なる発見につながる。」という働きを持っています。こういうConceptを用いた学びを行い、一年生なりに「数」についての理解を深めていこうとしているんです。

The understanding that knowledge is moderated by perspectives; different perspectives lead to different interpretations, understandings and findings; perspectives may be individual, group, cultural or disciplinary.
(「Making the pyp happen」より)


 この二人は「数」というものの本質の一つをつかみ始めています。こういうことがわかった上での「足し算」とわからないままの「足し算」とでは、その意義が大きく違ってくるんですな。

 書きたいことは、もう、なんちゅうか、山ほどあります。でも、もう、これ以上書くのをやめます。

来週を楽しみにしてください。