読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

●子どもたちに学習者像を教わるわたしたち







カーテンを開け、電気をつけながら4月17日とホワイトボードに書き込む頃、
廊下には元気な笑い声が響きます。

今日も笑ったり、泣いたり盛りだくさんの1日が始まります。

時刻は7時30分。

1番乗りの男の子が教室にやってきました。

さらさらの髪で、重そうなランドセルを背負って。

<今日は花粉症用のメガネをしていないな>と思い尋ねると

「もう花粉は飛んでいないから」とのこと。


そうしているうちに、次から次に子どもたちが教室に入ってきます。

「連絡帳袋を持ってこっちへ来てね」私がそう言うと、

私の机の前には一列に並んだ子どもたち。

<今日は昨日と違って眠そうな顔をしているな>
<そういえば、昨日お友だちの体操着を間違って持って帰ってしまったとメールがあったな>
<そうそうこの子のお父さんが、ちゃんと給食を食べているか心配していたな>

家庭からの連絡をチェックした後は、何気ない会話から、
その日の子どもたちの状態を把握します。

「先生、着替えたから体育館行ってきてもいいですか?」

「いいよ」


子どもたちは、連絡帳にお手紙と持ち物を書き終えると、更衣室へ。


「あ、●●くんが体操着忘れてる!ボクが届けてくるね!」と言って、
私が頼んでもいないのに、颯爽と走って行く子も。
(こういう時に廊下を走られると、非常に注意しづらいですね。)




そして、着替えが終わった子から体育館へ行きます。


「鬼さん、鬼さん、何色ですか?」


体育館では、色鬼(おにがいった色に触ればおには捕まえられないという遊び)が始まっています。


<今日も筋肉痛だから、走りたくないな>という私の思いは

子どもたちの小さな誘いの手によって、脆くも壊れます。


そして、8時10分を過ぎると教室へ。


8時15分からは朝の読書が始まります。


すると、一人の男の子が本を持って私のところへ。


「せんせい、これやってみたい!」そう言うのです。


なにかというと、


「風船を1800個集めれば、その上に人間が乗れる」と本に書いてあるのです。


「やってみたいね」と、私は曖昧な返事をしていると、朝の会を知らせるチャイムが。




こうして、1日が始まります。


さて、4月も後半にさしかかりましたが、読者の皆様はいかにお過ごしでしょうか。


4月18日の説明会にはたくさんの人に足をお運びいただき、心より感謝いたします。


説明会のアンケートには、様々な声が記されていましたので、
次回以降、さらにレベルアップしていきたいと思います。



・子どもたちから学ぶIB 学習者像


子どもたちの頭の中は、真っ白なものではなく、すでに何かを知っています。


そう私は説明会でお伝えしました。


子どもたちはエレベーターを、学童保育室を、車がガソリンで動くことを
すでに知っています。


と、同時にIB(Internationalバカロレア)にて定義される学習者像もすでに体現しつつあるのです。



たとえば、【探究する人 Inquirers】


冒頭の読書の時間で私のところへやってきた男の子。

「せんせい、これやってみたい!」


ニコニコしながら、風船にのってみたい!という彼はすでに探究者です。


ここで、私は大人として<ぜひ実現してあげたい>と思いつつ、
曖昧に返事をしてしまいました。





たとえば、【思いやりのある人 Caring】

「あ、●●くんが体操着忘れてる!ボクが届けてくるね!」という男の子。

彼は、他の場面でも、お友だちが筆箱をなくしていたのを見て、
一緒に探してくれました。





たとえば、【コミュニケーションができる人 Communicators】


子どもたちは、男女クラス関係なく、みんなで仲良く鬼ごっこをしています。


最初は、ただの鬼ごっこ。そして、氷おに、色おにと、

どうすれば全員が楽しくなるか、
どうすれば体育館を活用できるか、

話し合いながら、コミュニケーションを図っています。




大人になると、なかなか全員と仲良くすることは難しく、
ついつい嫌いな人を排除しようとしたり、苦手な人を避けようとしますね。




●IBの学習者像とは、IB が国際教育のあるべき姿を具現化したもの


--------------
IB 学習者像とは、IB が国際教育のあるべき姿を具現化したものであり、その一つひとつには、非常に深い意味と価値観が含まれています。

IB 学習者像のそれぞれの特性は、初等教育課程に学ぶ児童に適したものであり、十分に達成が可能な目標です。
教師は、児童の年齢や成長度合いに応じて、学習者像の意味するところを適切な方法で子どもが学んでいく機会をつくる必要があるでしょう。

また、PYP校には、国や地域によってそれぞれに異なる文化や風土があります。
各校が持つ様々な条件に合わせて、IB 学習者像の概念を柔軟に捉えることができます。

PYP で学ぶ児童は、それぞれに多彩な背景と豊富な経験を持っていますし、そうあることを歓迎しています。
全ての教師は、そういった国籍や文化、経験に関わらず、IB 学習者像の観点から児童の評価を行う責任があります。
学校もまた、全児童に対して、IB 学習者像の特性の成長度合いを評価し報告する責任があります。

(Making The PYP Happenより)
--------------


この文献を何度も読んでは振り返り<できていないな>と反省する私ですが、

たった6、7年しか生きていない子どもたちがすでに学習者像を体現し始めているのです。



学習者像とは教えるものではない、と『Making The PYP Happen』には書かれています。


--------------
教えられたものではなく、コミュニティの中で高く評価される態度を児童自身が自覚し、
自ら身につけた力を周囲に示していくことこそが、IB 学習者像の体現へとつながっていくのです。

(Making The PYP Happenより)
--------------


北村コーディネーターが国際バカロレア機構アジア・パシフィック地区委員坪谷・ニュウエル・郁子氏と会談した時に
「各学年段階でのIB学習者像を定義することが大切」とおっしゃっていただいた話を思い出しました。


1年生だったら、

【探究する人 Inquirers】は、遊びと学びの中でまわりの世界に好奇心を持つこと
【思いやりのある人 Caring】は、学びの場(教室など)をきれいにしたり、みんなで気持ちよく学べるように気遣いをしたりすること
【コミュニケーションができる人 Communicators】は、自分の意見を相手にわかるように述べ、人の考えや意見を大事にすること

こんな具合かもしれません。


大切なことは、学習者像を体現し始めている子どもの瞬間を見逃さず、こちらの大人たちが、その場で認めること。



「ストップ!今のきみの行動は思いやりのある人だね」


こうした積み重ねこそ、子どもたちが将来、国際社会に貢献できるリーダーへと成長するための布石なのではないでしょうか。