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【開智望小学校 北村】学校だより 4

4月28日(火)はエクスカーションです。
開智望小では「遠足」と言わず、「エクスカーション」と言っています。その理由は、「遠足」という言葉の持つ意味の広がりよりも「エクスカーション」という言葉の持つ意味の広がりのほうが広いからなんですよ。

「Excursion」・・・意味
�@ 団体による小旅行・遠足・・・・友好を深める
�A 未知の事柄への挑戦


子どもたちは、行くための準備、目的地に行く過程、目的地での活動、帰りの過程、振り返りを通して、仲間との友好を深め、協力や相互尊重などの精神を形成していきます。
さらに、日常行われている探究活動の一環としてのフィールド・ワークを行う中で、「探究スキル」「コミュニケーション・スキル」「思考スキル」のいくつか、コンセプツを使った考え方などの「学びの基本的な姿勢」も学んでいきます。
また、このエクスカーションは4月の学びの「まとめ」ともなります。
 では、4月・5月の探究の単元のテーマは、・・・・・・・・
「Where we are in place and time」という教科融合のテーマで、そのセントラル・アイデアは、1年生「探究は発見に始まる」、2年生「ランドマークには人々をつなぐ力がある」です。このセントラル・アイデアに向かう探究のアウトラインに沿った探究活動を、各クラスは、4月中に行ってきました。
 子どもたちは、その中で、疑問立て、観察力、資料収集力、資料記録力などのリサーチスキルや、プレゼンテーションスキル、協力する力などのソシアルスキルを短期間のうちに発達させてきました。
 さらに、自分に対するケアリング、他者に対するケアリングも形成しつつあります。もっとも、こっちのほうは、まだまだ不十分すぎますが。
 また、対象をFormやFunctionから捉える力も伸ばしてきましたし、自分たちのいる場所についての知識も少しずつ獲得してきました。
 そして、エクスカーション。ここで、今まで獲得し発達させてきたスキルや概念的な考え方を思いっきり発揮し、さらに世界に対する新しい知識を獲得していきたいと考えています。「獲得させたい」と書かず、「獲得していきたい」と書いたのは、子どもたちだけでなく、私たちも学習者だからです。
 エクスカーション、きっとたいへんやりがいのある、楽しいものになると考えています。

探究→理解→反復の学び
 理事長補佐の北村です。今週も書きたいことは山ほどありますが、文章が長すぎるという、部下からの厳しい指摘がありまして、たいへん残念ですが、2000字ほどけずらしていただきました。

ひとたび理解できれば、いくらでもできる。
野口君のクラスでは、算数をやっています。
1から5までのゼッケンをつけたウサギさんとゾウさんがBENQで映し出されました。「ウサギさんとクマさんで手をつなぐと合わせて5になるように、手をつなぐ相手を見つけてください」という指示が出されました。手が挙がります。「クマさんが3なら、2のゼッケンのウサギさんだ」「ウサギが2なら、クマは3だよ」・・・足し算や引き算を理解しようとしているんですね。

ところで、小さい子たちは、「数」については、思ったほど正確に理解しているわけではありません。たとえば、碁石を一つ一つ数えたら30個あったとします。子どもたちも自分で数えたので30個あることを認識しています。さて、この30個の碁石を、山盛りに重ねてしまったとします。こういう状況で、山盛りにした碁石の数を子どもたちに言わせると、30個以上になったり、以下になったりします。「ぼく、100まで全部言えるよ」と言っている子どもでもそういうことがあるんです。
「ウチの子、大丈夫かしら」・・・不安そうなお母さんの顔が目に浮かびます。でも、心配しないでください。実は、幼い子どもたちは「加えたり取り除いたりしないと、数は減ったり増えたりしない」「加えてもいないし除いてもいないので数は同じだ」ということがまだ理解できていないだけです。そういう段階を通って子どもたちは成長していくものなんですな。六歳から七歳程度になれば、「加えたり取り除いたりしないと、数は減ったり増えたりしない」ということが分かってくるんです。

野口君の教室では、子どもたちが数というものがどういうものかを理解するところから算数が始まりました。先週は「仲間あつめ(仲間はずれ)」問題をやっていたのはそのためです。これは、「数」というものがどういうものか(Form)、どういう働きをするのか(Function)をみんなで考えているんですな。なんについても、FormやFunctionやCausationなどのConceptsを使って疑問を出し、考える力を付けることは、21世紀を担っていく子どもたちにとって、大変重要なことですぞ。
ところで、「数」というものが生まれたのはいつでしょうか。どうも有史以前のようですな。「数」は「ものの集まりの大きさ」を表すために考え出されたようです。タヌキが2頭、スプーンが3本、という個数を表す数がそれです。これを「集合数」と言います。これに対して、一等、二等、一番、二番のような順序を表す数を「序数」と言って、区別します。集合数は、足し算引き算ができますが、序数は、いくつかの場合を除き加減乗除ができません。まぁ当たり前ですね。一等と二等を足したら三等になるということはありませんので。

さて、先週、野口くんは子どもたちと、最も根源的な数、「集合数」を考えました。そして、「足すことができる数」と「足すことができない数」があることを「発見」しました。
そして、今週に入り、いきなり「抽象的な数」に行かずに、「数」と「具体的なもの」とを結びつける探究を行いました。そりゃそうですよね。子どもたちにいきなり「『3』という数をイメージしてごらん」と言っても、これは無理ですよね。そこで、野口君と子どもたちは、数と具体物とを結びつける探究を行いました。
「『1』『ひとつ』について考えてみよう。君たちの身の回りに刈るものだとどんなもの?」「あっ、お鼻だ。」『口もひとつだよ。』「じゃ、『2』は?」「お耳だよ」「鼻の穴もふたつだよ」子どもたちの数のイメージははっきりしてきたようです。
つぎに、このクラスは、「一対一対応」(七頭のゾウと五匹のネズミを一つ一つ対応させていって、どっちがいくつ多いかを認識する方法)を用いて、先ほど述べた「数に対する理解」を発達させました。

このあたりから、反復学習が始まります。

さらに今日は、1から5までのゼッケンをつけたウサギさんとゾウさんをBENQで映し出し・・・・、足し算です。
今、足し算から引き算に発展する問題を子どもたちはやっています。今度は「探究」ではありません。子どもたちはプリントの問題をやって、野口君に○を付けてもらいに行きます。野口君は、「探究の学び」の立ち位置から、「反復の学び」の立ち位置にポジションを変えました。
最初はうまくできなかった子どもたちも、同種の問題を反復するうちに簡単にできるようになっていきます。理解も深まっていきます。
反復学習は、処理能力を高めます。しかし、実はそれだけではありません。反復学習は対象の理解も深めるものなんです。そういうことをよく理解したうえで、「探究」→「理解」→「反復」を効果的に融合して学びを行っています。ちょっと困ったような表情をしていた子どもたちも、五分後は喜び勇んで、野口くんのところに小走りで駆け寄ります。すぐに、野口くんにプリントをねだるようになるんだろうなと楽しみにしながら、教室を後にしました。