●教員研修の様子 〜授業検討の一場面から家での探究!?まで〜

こんにちは、開智望小学校の沼上です。
いつも開智望ブログをご覧いただきありがとうございます。
このブログでは、毎回開智望小学校の教育について紹介しております。

学び続ける教師!

夏休みが終わりました。学校がにぎやかになってきました。

夏休み中は、子どもがいないうちも開智望小学校の教員たちはせっせと自己研鑽をしておりました。
そのうちの一つが、夏休み中に開かれた校内教員研修です。
各教科の教員が授業実践を紹介し、よりよい探究の方法はないかを探ります。

今日は、その研修のうちの一つの図画工作科の鑑賞教材であるアートカードを使った授業検討の一場面を紹介します。
絵画鑑賞という言葉を聞くと、「難しい。」「身近じゃない。」という印象を持つ人が多いのではないでしょうか。
「今日は鑑賞の模擬授業をやります!」と私が教員に言った時もピッと背筋を伸ばしてなんだか改まって緊張した雰囲気に…

教員たちによる鑑賞活動は果たしてうまくいくのでしょうか?

鑑賞とアートカードと国際バカロレアのPYP(初等教育プトグラム)

アートカードとは、絵はがきサイズに美術作品が印刷されたカードのことです。この数十枚のアートカードを使ってトランプのようなゲームをし、鑑賞活動ができる教材です。



今回は、マッチングゲームに挑戦しました。
それから、国際バカロレアPYP(初等教育プログラム)の探究とのつながりを教員間で検討しました。

ゲームの内容と並行して探究とのつながり について以下にお話していきます。

アートカードでのマッチングゲームは、トランプでいう神経衰弱のようなゲームです。

まず、プレイヤーの一人が2枚のカードを引きます。そして、引いたカードの2枚のカードの絵の共通点を探します。
「この絵の共通点は、赤っぽい色の感じが似ている。」「丸っぽい所が似ているね。」グループからこのような言葉が聞こえました。


この学習活動を通して、どんな力を育むことができるのでしょうか?

私は、PYPのキーコンセプツの“form”による思考を促しうると、とらえています。
「色の感じは?」「形の特徴は?」「構図はどうか?」「絵に登場している人物の表情はうれしそう?かなしそう?」などと、色や形などの特徴から事象を捉える“form(特徴・構造)”による問いを自分で立てないと2枚のカードの共通点はなかなか見つかりません。
ゲームでは、偶然引いた2枚のカードをよく観察し、“form(特徴・構造)”のコンセプトをつかって共通点を探すことが求められます。




次に、プレイヤーが発表した2枚の共通点に対して、同じグループの仲間は「いいね!納得!」もしくは「うーん。もうちょっと説明してほしい。」というリアクションをします。

この同じグループによる仲間との理由の発表とリアクションのやりとりは、キーコンセプツの“perspective(視点・視野)” による思考活動を促していると捉えられます。
プレイヤーは自分の“ものの見方”を仲間に理解してもらえるように説明します。そして、グループの仲間は、自分だったらどう見るか?説明に納得できるか?など自分と他者の“ものの見方”の共通点や相違点を活動の中から段々と見出していきます。

このように、アートカードによるゲーム内容を一つずつ分解してみると、
国際バカロレアのPYPを通して育むべき要素がとけこんでいるようです。

最初は緊張していた雰囲気の教員たちも、ゲームでは、「えー!そう言うふうにみたのね!」などと驚いたり、笑ったりと楽しみながら研修に参加していました。学ぶときには楽しい!ワクワクする!という要素も大切にしたいですよね。



お家で絵本を一緒に読むときにもできる!探究への一歩!?
この教員研修で行ったワークは、お家の中にある絵本を使ってもできます。

最近読んだ著書で、『絵本で育てる情報分析力-論理的に考える力を引き出す』があります。

そこには、絵本の絵を分析することによって、
「目で見た対象の実体を受け止める力や鋭い観察眼などを育て、視覚を通して得た情報から重要な事柄を最大限に感知する能力を引き出す(三森,2002)」ことが期待できると述べられています。

例えば、「登場人物は何をしているのかな?何を考えていると思う?」「これって何時頃のことなのかな?」「これって季節は夏なのかな?どうしてそう思ったの?」などと、
絵本に描かれている1枚の絵の中からたくさんの情報を子どもとの対話で引き出しながら絵本を読み進めていくことで「情報分析力」の育成が期待できるのではないか、ということです。

この著書では「情報分析力」と表現をしていますが、以上のアートカードのゲームの例で紹介してきた「色の感じは?」「形の特徴は?」「構図はどうか?」「絵に登場している人物の表情はうれしそう?かなしそう?」などと、色や形などの特徴から事象を捉える“form(特徴・構造)”による問いを立てるということに通ずる部分がありますね。

ぜひ、お家にある絵本の1ページをとって広げながら、お子さまと一緒にたくさんの問いを立て、様々な情報を読み取ってみてください。
よく観察すると新たな発見があって楽しいかもしれません。


2学期もよろしくお願いいたします!

今回は教員研修の一場面、そして、お家でもできる探究への一歩について紹介しました。

2学期が始まり、普段の授業実践からも教員たちは変わらず探究しつづけております。
ぜひご来校頂き、子どもたちの成長の様子とともに教員たちの自己研鑽の成果もお見せできればと思います。

ブログをご覧いただきありがとうございました。

参考・引用文献
森ゆりか 2002年 一声社 『絵本で育てる情報分析能力-論理的に考える力を引き出す』p.54