【コーディネーター便り】図書だより~冬休み特別号

ニュートリノと宇宙創成の謎」

(編集工房スーパーノヴァ 編著 佐藤勝彦監修 実業之日本社

 

小学校6年のとき、弟と天体望遠鏡を作りました。鏡筒の部分はボール紙というしろものでしたが、二人で月をみて、白く輝いている月に感動したことを今でもはっきりと思い出します。

また、冬休み中、先生が夜、7時に児童を神社の前に集めて、白い息を吐きながら、星座と星を教えてくれました。カシオペヤから北極星を見つける方法、北斗七星から北極星を見つける方法、オリオン座やスバルにまつわる神話など、寒い中で手に息を吐きかけながら、夢中になって聞いていました。あのときの光景もありありと思い出されます。

その頃の私にとっての「宇宙」とは、月や星座でした。でも、「宇宙」は私にとって、ロマンの対象となったのはこの頃からです。

 

高校で、ある先生の影響で哲学に興味を持ち、空間だの時間だのについて考え始めました。「無限」という観念を学び、宇宙の「始原」を考えることは無意味ではないのかと考え始めました。宇宙には、始原もなければ終局もないし、中心もなければ限界もないと信じきっていました。琵琶湖のほとりにあったセミナーハウスで合宿したとき、屋上に新聞紙を敷き、星空を見上げながら、自分の前に広がっている夜空にはハテがないのだと考えていると、自分が無限に向かって放り出されているようで、ちょっと怖くなったのも思い出されます。

 

ですから、「宇宙には始原がある」「宇宙は膨張している」等々の最新の宇宙論を耳にしたとき、強い違和感を覚えたものです。また、ホーキング博士の本を読んでも、さっぱり理解できませんでした。

しかし、私自身、いまだ「宇宙」への憧れのようなものを持っていて、宇宙に関するちょっと面白そうな本や、自分にとっても分かりそうな本があると、手にとってしまいます。

 

なかでも、読みやすく、面白かったのが、「インフレーション宇宙論」を提唱し、国際天文学連合宇宙論委員長を務めた佐藤勝彦氏監修の「ニュートリノと宇宙創成の謎」(編集工房スーパーノヴァ 編著 実業之日本社)です。

「遠い星を観測することは、宇宙の過去を知ることだ」という有名な命題もたいへんすっきり分かります。

ハッブル望遠鏡のような最先端の技術が注ぎこまれた光学望遠鏡が捉えることのできる「過去」は、今から127億年前まで(127億光年離れた星を観測できるということ)ですが、ニュートリノだと、137億年前の宇宙創成の瞬間から0.2秒後の情報を得ることができることなどから始まり、宇宙で働いている「力」とはどのようなものか等々、ニュートリノによってさまざまな事象が解明されていきます。ある意味、痛快です。

ノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章氏は、小柴博士のあとを継ぎ、ニュートリノ振動を研究した方です。この正月に大人が読む本としてはたいへん面白いのではないかと思い、紹介いたします。

 

 

 

ホーキング博士のスペースアドベンチャー 1 宇宙への秘密の鍵」

ルーシー&スティーヴン・ホーキング著, さくまゆみこ翻訳 佐藤勝彦平木 敬 監修  岩崎書店)

 

大人むけの書物だけ紹介するのは、小学校の図書室の仕事としては片手落ちですね。児童むけの本も紹介しなければなりません。野口君と話していたとき、「あれは面白いね」ということになったのが、「ホーキング博士のスペースアドベンチャー 1 宇宙への秘密の鍵」

 

この本は、宇宙物理学者のあのスティーヴン・ホーキング博士とその娘さんのルーシー・ホーキングさんの共著です。絵はルーシー・ホーキングさんの手によるものです。

主人公は小学生ジョージ。スーパーコンピューターの力で宇宙を大冒険する物語です。ファンタジーの世界に引き込まれながら、科学コラムや美しい写真で宇宙についてのさまざまなことを知ることができますし、なによりも「科学する心」が身につきます。大人が読んでも楽しいですよ。この本も佐藤勝彦氏の日本語監修です。今、このシリーズは「3」まで出ていると思います。

ホーキング博士は、この本の読者の子どもたちに、「地球が直面している問題は、もはや地球だけでは解決できない。未来のため、子どもたちに広大な宇宙への興味・関心を持って欲しい」というメッセージを送っていますが、これは開智望小や国際バカロレアのミッションともかかわっていますよね。

 

なにぶん、対象年齢は小学校高学年からです。でも、子どもたちがお父さんやお母さんと一緒に、授業でやっている「一読総合法」を活用しながら読んだら、たいへん面白く読めるんじゃないかなと思います。・・・・正月休みですから。

 

 

 

「算数おもしろ大事典IQ」

(笠井一郎らの監修 学研プラス)

 

昔、といっても20年ほど前でしたでしょうか。この本を東京の国立市の書店で手にとって開くと、たいへん面白い話がたくさん載っていました。

 織田信長が、家臣たちに、この山に生えている木の本数を3日で調べろと命じました。困惑している家臣たちを尻目に、木下藤吉郎は1日でやってのけます。その方法とは・・・。小学校の頃、先生から、1から100までの数を足したらいくつになるかを問われたフリードリッヒ・ガウス少年は、その答えをたちどころに出して、みんなをアッと言わせます。その方法は・・・・。

 

愉快なエピソードやおもしろいパズルやクイズ満載。それでいて、子どもたちに算数への興味を持たせてくれます。けっこう高度な内容も、簡単に分かってしまうのがうれしいですね。小学校2年生程度で活用できますので(といっても絵を見て楽しむくらいでも十分ですが)、開智望小の児童たちにはうってつけです。ここだけの話ですが、大人も結構楽しめますよ。

 

 

算数おもしろ大事典IQ 増補改訂版

算数おもしろ大事典IQ 増補改訂版

 

 

雪の女王アンデルセンの童話〈3〉

(福音館文庫 物語)(角川つばさ文庫

 

アナと雪の女王がヒットしたため、原作の「雪の女王」のすばらしさが省みられなくなりました。

もう15年も前になりますが、土曜日に30人程度の子どもたちと「雪の女王」の読書会をしたことがあります。方法は「一読総合法」で行いました。みんなつぎの展開を想像し、ワクワクしながら読み進めていきました。想像と違った展開になったときは悔しがったり、想像通りにならなかった理由を説明したり、想像通りだったときは、得意そうな顔をして喜んだり・・・と、たいへん盛り上がった読書会でした。

このときせっかく読んだんだから、アニメも見てみようということになり、手塚治虫さんや宮崎駿さんらが絶賛していた、ソヴィエトで1966年に製作されたアニメのビデオを入手して、をみんなで見ました。

その後の、子どもたちの感想は・・・、「やっぱり本を読んだときのほうがすごかったよ。迫力があったよ。」「アニメだと、ちょっとちゃちっぽくなるね。」

読むこととは、理解することだけではなく、立ち止まり、想像の世界を広げることです。それ自身が、かなり創造的な活動なんですね。そのことをつくづく感じた経験でした。

 カイ君という少年とゲルダちゃんという少女がいました。二人はとても仲良しだったのですが、ある日、悪魔の作った鏡の欠片がカイ君の眼と心臓に刺さったため、彼の性格は冷たくなってしまいます。

さて、ある雪の日、カイ君がひとりでソリ遊びをしていましたが、そこに、恐ろしい雪の女王が現れます。そして、性格が冷たくなっていたカイ君の心をとりこにして、連れ去ってしまいます。

春になって、ゲルダちゃんはカイ君を探しに、一人で旅に出ます。ここから大ドラマが始まります。

この物語は、成長小説です。その点、日本の「龍の子太郎」(松谷美代子作)や「天の瞳」(灰谷健次郎作)とも共通しています。ともかく読後の感動がすばらしいですよ。

これも、親子でどうぞ。

 

 

雪の女王―アンデルセンの童話〈3〉 (福音館文庫 物語)

雪の女王―アンデルセンの童話〈3〉 (福音館文庫 物語)

 

 

 

新訳 雪の女王―アンデルセン名作選 (角川つばさ文庫)

新訳 雪の女王―アンデルセン名作選 (角川つばさ文庫)