●裸の肉眼でみえなかったところのものを明らかに映し出し、見なれていた風景を一変させるのが・・・

こんにちは、開智望小学校広報担当の野口です。
いつも開智望ブログをご覧いただきありがとうございます。
このブログでは、毎回開智望小学校の教育について紹介しております。

 

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猛暑がようやく過ぎ去り、だんだんと日照時間も短くなり秋の訪れを感じますね。

子どもたちはプールに授業に全力でがんばっています。

 

秋といえば、スポーツの秋、読書の秋です。

今回は探究を理解する上ですごく参考になった本を紹介してまいります。

 

 

読書と社会科学 (岩波新書)

読書と社会科学 (岩波新書)

 

 

NAKAHARA-LAB.NET 東京大学 中原淳研究室 - 大人の学びを科学する: 社会科学を学ぶことの意味:概念装置という考え方

 

 

・コンセプト、Concept、概念、概念装置が探究における最重要用語

 

もし、<これ>をなくしたら探究でなくなるものは何か。

そう聞かれたら、<コンセプト>と答えるでしょう。

 

開智望小学校の開校プロジェクトが始まって以来、私たち教員はこの<コンセプト>について研究してきたといっても過言ではありません。

 

巷のアクティブラーニングに欠けているものが<コンセプト>であり、

国際バカロレアが、なぜ考える力を身に付けさせられるのかが<コンセプト>であり、

子どもたちが認識を深める道具こそ、<コンセプト>です。

 

 

私と<コンセプト>との出合いは、この本です。

 

 

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代

 

 

これからは<コンセプト>なんだな。そう思った時期を今でもはっきりと思い出します。

 

大前研一氏の本、内田樹氏の本などを読むと、自分の内面に衝撃が走るわけです。

まさにそれはこの一節が表しているものでした。

 

裸の肉眼でみえなかったところのものを明らかに映し出し、見なれていた風景を一変させる。

 

今回ご紹介する『読書と社会科学』に出てくるこの一節こそ、探究とは何か私たちに教えてくれる含蓄のある表現です。

 

<コンセプト>とは、具体と抽象をつなぐものですね。

 

しかし、

コンセプト

Concept

概念

概念装置

 

どれも似て非なるものです。

 

企画のコンセプトとは何でしょうか。

国際バカロレアのKey Conceptとは何でしょうか。

概念形成における概念とは何でしょうか。

そして、今回登場する概念装置とは何でしょうか。

 

それぞれ微妙に違うのです。

 

 

kaichinozomi.hatenablog.com

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具体例から考えてまいりましょう。

 

・部分合理全体合理とマトリクス

 

私は、普段から乱読派で何でも読んでしまいます。

その中で改めて読み返す本も少なくありません。

 

『ストーリーとしての競争戦略』もその1つです。

 

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参照元

http://www.nittochi.co.jp/enterprise/estate/cre/forefront/1304_1.html

 

この図を四象限のマトリクスと言いますが、

この図には世の中を読み解くヒミツが隠れていますね。

 

探究とは部分的には非合理的、しかし全体としてみれば合理的なのです。

一見遊んでいるように見えて、実はコミュニケーションスキルやソーシャルスキルを身に付けています。

 

子どもたちで話し合ってでた結論が実は違っていて、いったんカオス状態に入ります。

それでも、それを乗り越えて全体としてみれば最後にはきちんと合理的になります。

 

これまでの教育はどちらかというと、部分的には合理的で、全体としてみれば非合理的でした。

バラバラの知識が使いこなせない、大人になったら学ばない。こうした現象の裏側には、部分合理全体非合理が隠れているのではないでしょうか。

 

他にも最近話題の映画『君の名は。

恥ずかしながら私は2回見ました。子どもたちにその面白さを伝えても

「なにそれ?」という感じ。小学校2・3年生にはまだ早いですね。

 

ストーリーの中にも部分的には非合理的で全体としては合理的な要素があります。

ある人の言葉を借りると「裏切って裏切らない」となるでしょう。

 

優れた小説やマンガ、そして物語には部分的には非合理的、しかし全体としてみれば合理的なものありませんか。

 

こうした見方そのものが概念装置です。

 

こうした世の中の現象を読み解く目を養うことこそ、探究の醍醐味です。

 

ガストのドリンクバーはどうでしょう。

プリンターのビジネスモデルはどうでしょう。

なぜ、USJのジェットコースターは後ろ向きに進むのでしょう。

なぜ、教えない方が結果的に学力が上がるのでしょうか。

 

その裏側には部分的には非合理的、しかし全体としてみれば合理的なものがあるのです。

 

しかし、残念なことに部分的には非合理的、全体としての非合理的になってしまうこともありますので、注意が必要です。

 

それこそ巷のアクティブラーニングの失敗例です。

すなわち、活動あって学びなし。この学びというのがまさに認識の深化として概念形成ですね。

 

さて、もっと抽象度を上げましょう。

 

四象限で考える。

 

先ほどは、部分的には非合理的、全体としての合理という少し具体的な要素が入っていました。今度は、もっと抽象的です。

 

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参照元

http://www2.gsn.ed.jp/houkoku/2011c/2011gaiyouban/28.pdf

 

最近コーチングのセミナーに参加しましたが、そこでは自己肯定感という言葉が言われていました。

ぜひ興味がある方はこの本がおすすめです。講師の高校の先生が紹介されていました。

 

アファメーション

アファメーション

 

 しかし、単に自分自身を尊敬しているだけでは困るわけです。

単なるナルシストですね。

 

そうではなくて私も肯定し、あなたも肯定する。

それが大切ではないでしょうか。

 

そして今回申し上げたかったことは、こうした四象限で考えるというやり方自体の価値です。

 

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参照元

https://www.josys.jp/itknowledge/timemanagement_for_leaders20160208

 

かの有名な『7つの習慣』の緊急度・重要度マトリクスです。

 

他にもプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント

 

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参照元

http://marketing-campus.jp/lecture/noyan/040.html

 

世の中の現象を読み解く四象限はたくさんあります。

 

そういう目で中学校の数学をもう一度見てみましょう。

 

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参照元

http://mtf.z-abc.com/?eid=516254

 

そうです。私たちは中学校の時にこうした四象限の考え方を確かに学んでいるのです。

しかし、それは数学の世界だけ。世の中を読み解く時にこうした考え方は使わないのです。

というか使えないのです。これで本当に良いのでしょうか。

 

開智望小学校の子どもたちには、特にビジネスの世界に行って活躍してほしいわけではなく、こうした考え方の切り口を身に付けてほしいのです。

 

四象限の縦軸と横軸は何でもいいのです。

表でもグラフでも、いいのです。

そうではなくて良い・悪い、善悪という二項対立では見えてこない現象の奥の本質が四象限にした時に初めて見えてくるという話です。

 

どうですか。

 

あなたの周りにも四象限で読み解けることがたくさんありませんか。

 

裸の肉眼でみえなかったところのものを明らかに映し出し、見なれていた風景を一変させるのが・・・

 

そうです。これが探究なんです。

 

良い本を読めば、今までの景色が違って見えます。

<あれもそういうことだったのか。これは実はこういうことだったのか。>

 

こうした発見、興奮という知的好奇心の醍醐味を小学校のうちから味わえたら素敵ではありませんか。

 

探究をした子どもたちはきっと

<<バラバラの知識が使いこなせない、大人になったら学ばない。>>

ではなく、

 

バラバラの知識を結びつけて、新しいことを考え出す。

大人になっても学びつづける。

 

私は信じています。