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【コーディネーター通信】開智望まつりに向けて

コーディネーターの北村です。

 

開智望まつりに向けて

 

二年生を例にお話しいたします。

現在、探究のUNIT3を行っています。教科の枠を超えたテーマは「How we organize ourselves」で、「私たちは、何らかの目的のために仕組みを作る」という普遍的な知識(セントラル・イデア)を獲得していこうとしています。

 

 

未来に向かう「普遍的な知識」・・・・

 

この「普遍的な知識」にはどんな意義があるでしょうか。

 

子どもたちは、今は家族や学校というコミュニティーで生活しています。こうしたコミュニティーは、最初は子どもたちにとって、所与のものにすぎませんが、コンセプツを用いた、学校の探究と活動を通して、次第にコミュニティーは、私たちが何らかの目的のために作った仕組みであることを知っていきます。この知識は、やがて、地域社会、国、世界という広がりの中でも、歴史の中でも、実際にそうであることを知っていくことでしょう。

 

2050年、現在から30数年後、社会はきっと大きく変わっていることでしょう。技術的な面だけを考えると、人工頭脳の発達やロボット化は、きっと人間を豊かにし、様々な「問題」や「労働」から人間を解放することでしょう。

 

しかし、そのとき、民族問題、格差問題、食糧問題、資源問題等々の問題が解決しているかどうか。子どもたちが、青年となり、独り立ちしていく過程で解決しなければならないんですね。そういうときに、「組織というものは、人間に外から与えられたものにすぎない」というような消極的な知識しかもっていないとしたら、まぁ、そんなことはないとは思いますが、こりゃ、みんなのために、立場や考え方の違う人もいるのですから、そういうことも含めて、新しい社会を作っていくことが出来なくなってしまう。

 

子どもたちは、今は、身近なコミュニティーのなかで、それを探究することで、「私たちは、何らかの目的のために仕組みを作る」という普遍的な知識(セントラル・イデア)を獲得していっていますが、今後、国、経済、世界等の探究、植物、動物などの生物の探究、生態系の探究などを通して、この知識が大変な普遍性を持つことを「発見」するとともに、この知識を発展させ、より一層強固なものにしていくでしょうね。

 

ところで、ただやみくもに探究を行っても、こうした知識を子どもたち自身が獲得することは、大変難しいんです。むろん、「いいですか、諸君。『私たちは、何らかの目的のために仕組みを作る』ということは大変重要なことです。覚えておきなさい。」というような授業では、知識は子どもたちの能力にはならないし、もちろん「考え方」にはなりません。

 

こういう知識は、様々な事柄の探究を通して、様々な知識を獲得したうえで、ようやく「なるほどそうなのか」という形で獲得されないと、事実に支えられた、自分で考えるという「頭脳に汗をかく」プロセスを介して獲得された、リアリティーのある、「使うことのできる」普遍的な知識にはならないんです。そこで、登場するのが、コンセプツです。

 

子どもたちは、自分たちの仕組みの振り返り(Reflection)、身近な組織がそのような組織である理由(Causation)、自分たちの活動の中の役割を、観点を変えて考える(Perspective)、「望まつり」を作り上げる(Responsibility)というように、概念を用いて考え、発表するものを作り上げています。

 

「方法」としての「概念的な学び」と、その結果獲得される「リアリティーのある概念」、活用される教科の知識やスキル・・・・

 

さて、そのコンセプトですが、例えば、Causationは、PYPのフレーム・ワークであるMaking the PYP happenでは次のように規定されています。

 

Connection・・・関係

Key concept question・・・How is it connected other things?

これは、他のものとどのように関係しているか?

Definition ・・・The understanding that we live in a world of interacting systems in  which the actions of any individual element affect others.

私たちは、どんな個別的な要素も他のものに影響を与えるような相互作用するたくさんのシステムの中で生きているという了解。

Rationale・・・This concept was selected because of the importance of appreciating that nothing exists in a vacuum but, rather, as an element in a system; that the relationships within and among systems are often complex, and that changes in one aspect of a system will have consequences, even through these nay not be immediately apparent; that we must consider the impact of our actions on others, whether at the immediate, personal level or at the level of far-reaching decisions affecting environment and communities.

虚無の中に存在するものはなく、むしろ一切のものは一つのシステムにおける要素として存在している。システムの中の、あるいは、システム間の関係は、多くの場合複雑である。システムの、ある一面における変化は、直接的には見えなくとも、(他に対して)影響を持つであろう。直接的であろうと、個人的レベルであろうと、あるいは、環境と共同体に影響を与える遠大な決定のレベルであろうと、私たちは、自分の行為の他者への影響を熟慮しなければならない。以上の理由により、この概念を取り上げた。

 

 つまり、身近なコミュニティーを探究の対象として、漠然と何の道具立ても用いずに探究するのではなく、Connectionという「道具」を用いて探究するんです。

まず、「How is it connected other things? これは、他のものとどのように関係しているか?」という問いを、子どもたちと一緒に、たとえば、「ホーム」(異年齢学級)に即して、「三年生は、ホームでは、他の学年とどのように関係しているか?」、「実行委員は、ホームでは、他の仲間とどのように関係しているか?」、「実行委員は、ホームでは、他のホームとどのように関係しているか?」等々というように自分たちの置かれている状況に即して具体化します。

 そして、他の組織等々と比較し仮説を立て、その理由を考え、実際の状況から確かめ、考えをまとめていきます。そして、「私たちは、一人一人が、あるいは、学年や役割が、ホームの他の仲間や他のホーム、あるいは、学校全体や地域社会に影響を与えるような相互作用するたくさんのシステムの中で生きているんだ」という知識を獲得していきます。

 ちょっと難しい言い方をすると、対象の概念的把握、あるいは、概念的思考は、対象を普遍的な概念を用いて認識するとともに、その結果として対象の概念を捉えることであるが、そのことは、対象の「概念」はどのような構成要素を必要としているかを認識していくことでもあるんです。

 その「影響」の及ぶ範囲を「数」を用いて表現するときは「算数」で学んだ知識やスキルが役立ちますし、また、逆に、算数で学んだ知識やスキルが現実の探究の強力な方法として活用され、しっかりとした学力に昇華されていきます。

 また、その「影響」の精神的な側面を考えるには、「国語」で学んだ知識が活用されるでしょう。9月・10月に学んだ「動物園のじゅうい」で得た知識は、まさしく、「個人」や「役割」と「組織」との関係を理解するときに先行知識となるとともに、探究の中でリアリティーをより一層強めていくでしょうね。さらに、現在やっている「お手紙」はConnectionというConceptだけでなく、Perspectiveという概念についての理解も深めていくことにつながります。それがさらに、「自分たち」と「ホーム」「クラス」「学校」等の「組織」のあるべき姿の認識、自分たちに対するReflection、自分たちのResponsibilityの自覚ということにつながっていくんです。

 こういう探究を行うことにより、「概念的な学び」は、教科の内部でも、あるいは、教科の枠を超えた問題でも「活用可能」な強力なものに発達していくんですよ。

 

開智望まつりをお楽しみに・・・・

 

こういうふうにして、概念的な学びを通して獲得された「普遍的な知識」と、概念的思考の能力自体、態度を発表する場が、「望まつりは遊びながら学ぶ場である」というテーマの「望まつり」です。テーマから考えて大変楽しいものになりそうです。

それぞれの、グループが、クラスが、ホームが、どのように考え、具体的にどのような知識を獲得し、それに基づきどのように行動しているかをぜひご覧ください。

 

最後に一つお願い・・・・

 

「組織」というのは、開智望小学校の場合、児童と教師だけでなく、保護者の皆様も含みます。それがわが校の「学びのコミュニティー」だと考えています。ですから、皆様も、子どもたちの発表に積極的にかかわってください。つまり、「拍手で終わり・・・」にはしないでいただきたい。質問してください。疑問をぶつけてあげてください。ただし、相手は小3までの児童です。お手柔らかに。