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【コーディネーター通信】私たちは、こうなるんだぞ!

タイトルが、軽いように思われるむきもいらっしゃるんではないかと存じますが・・・。

 ジュネーブ・インターナショナルスクール(International School of Geneva)の、初等教育プログラム(PYP)の「PROGRAMME OF INQUIRY」(探求のプログラム)について、考えてみたいと思っておりました。今日は、ジュネーブ・インターナショナルスクール(International School of Geneva)の、初等教育プログラム(PYP)のセントラル・イデアについて考えてみようと思います。

 

ジュネーブ・インターナショナルスクールとは・・・

 

その前に、ここで簡単にジュネーブ・インターナショナルスクールについて説明したいと存じます。

 ジュネーブ・インターナショナルスクール(International School of Geneva)は、スイスのジュネーブ州にあるインターナショナルスクールで、1924年に国連ILOの職員によって設立された世界最初のインターナショナルスクールです。最初はたった8人の生徒と1羽のウサギだけでした。目的は、進歩的な教育理論に基づく教育を提供することでした。・・・そして、1968年には、英語とフランス語による、国際バカロレアのディプロマプログラムが、このジュネーブ・インターナショナルスクールのロバート・J・リーチ先生と他の教師たちによって、大部分が作られました。

「The birth of the first international school. The school opens on Sept 17th 1924, with just 8 students and a rabbit. Founded by local educators and by officials of the League of Nations and ILO, the purpose of the school was – and still is – to provide an international education based on the progressive educational principles of the éducation nouvelle movement.・・・・・The International Baccalaureate Diploma Programme (IB) in English and French is largely created by Robert J. Leach and other teachers at the International School of Geneva.」

(International School of Genevaの「Our history」より)

 現在は、La Grande Boissièe、La Châtaigneraie、Campus des Nationsの3つのキャンパスがありましてな、国際バカロレアのディプロマ・プログラムを1学年約300名が受講しております。

 つまり、国際バカロレアの教育の、文字通りの「牽引車」だったわけです。そして、いまでもそうです。

現在、ジュネーブ・インターナショナルスクールのディプロマ資格試験の合格率約95パーセントで、世界的に見て大変高いんです。ちなみに、世界平均は約80パーセントです。

 

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(International School of Genevaのホーム・ページより)

 

 また、生徒一人当たりの平均得点はやく34点で、これも世界的に見て大変高いんです。(世界平均は約30点)

 

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たとえば、キングズカレッジ・オブ・ロンドン大学は、ディプロマ・スコア36点あれば、無試験で入学できるわけですから、ジュネーブ・インターナショナルスクールの卒業生は、半分近くがキングズカレッジ・オブ・ロンドン大学に入学できるわけです。これは、すごいことですぞ。参考までに、オクスフォード大学は38点以上、ケンブリッジ大学は39点以上です。

 

 こうなると、気になるのは、同じIBのインターナショナルスクールでも、ドえらい違いがあるんじゃないかということですよね。どこに違いがあるかということですよね。私たちは、小学校ですからして、当然、初等教育プログラム(以下PYP)が気になりますな。

 そこで、ジュネーブ・インターナショナルスクールの等教育プログラム(PYP)の「PROGRAMME OF INQUIRY」(探求のプログラム)を分析してみようではありませんか。

 

分析の道具「観点」・・・「普遍性」

 

「分析」というと、何が必要でしょうか。徒手空拳で戦わんとする阿呆はおらんの同様、分析の「道具」を持たずに分析しようとする阿呆もおりません。まぁ顕微鏡だの試験官だのを使うわけではありませんが、どういう「観点」から見るのか、というPerspectiveだけははっきりしとかなければ、いけませんな。

 

 さて、その「観点」ですが、次のような「観点」を用いたいと考えます。

 その「観点」は、セントラル・イデアが「イデア」の名にふさわしく、「普遍性」を持っているかどうかという観点です。

 では、なぜ「普遍性」なのか。

今、IT技術やメディアの発達により、止まりを見せないグローバル化が進んでいます。家と学校とをただ往復しているだけでも、車のラジオから今日は中東、今日はアフリカや南米というように情報が飛び交っています。私は、それが嫌になると落語のCDを聞くことにしているんですが、最近は桂小楠師匠にハマってしまいまして、あの師匠、「子ども」をやらせると、うまいもんですな。特に「いかけや」や「てんしき」なんざ、最高でして・・・・。

え~、閑話休題。IT技術の進歩やグローバル化は、人間に恩恵をもたらしもしますが、たいへん面倒な「問題」も生み出していますぞ。そして、それらの新しい「問題」は一筋縄ではいかん問題ですぞ。これまでのように、細分化された知によっては太刀打ちできないでしょう。

そうした「問題」を、様々な知を結集し、まさに特定の知の枠組みを超えて、仲間とともに協働的に、解決の方法を見出していく智や能力が必要となります。

 そういう能力を培うプログラムが、「Theory of knowledge」、すなわち、「知の理論」をコアにしたディプロマ・プログラムです。ディプロマ・プログラムは、たいへん高い教科領域の知識も獲得するのですが、それとともに、こうした「知の有効性と限界」とを吟味しつつ、高い個別的な知識と、それらの知の枠を超えて問題解決を図る能力を高めるための「知の理論」も学ぶんです。

 さて、そこから翻って、PYPを見ると、「探究の単元」(UOI)のセントラル・イデアは、一つの教科、特定のトピックに偏ったものであっては、うまくないわけですな。ただ、当然のことですが、UOIを行うには、各教科の相当高いレベルの知識が必要です。二年生のUOIでは、流れる水の働き(理科・5年生相当)、地域の災害や事故とその防止(社会・3年4年相当国土の自然と産業(社会・5年)、雷と電気、電気の利用(理科・5年6年相当)、治水の歴史(社会・6年相当)、人々の生活を守り豊かにした人々(国語・5年6年相当)、そして、高い算数の能力が必要です。しかし、それだけでは十分ではなく、それらを用いて、たとえば、「人間は、自然の脅威を恩恵に変えることが出来る」といったセントラルアイデアに対して向かって、キー概念のConnectionや関連概念のLawなどを通して様々な探究を行い、最後に、「自然の脅威とは、自然の法則を人間がまだ認識していないところから生まれ、自然の法則を人間が自分たちの生活を豊かにするために、うまく作用されることである」といった知識を見つけることが必要になってきます。

 そのためには、セントラル・イデアは、特定の教科やトピックに偏したものであってはならないんです。それだと、ディプロマ・プログラムにうまくつながっていかんのですな。

 どうも、まわりっくどい説明になりましたが、こういうわけで、セントラル・イデアを分析する観点として「普遍性」を用いたいと存じます。

 

ジュネーブ・インターナショナルスクールのセントラル・イデアの分析・・・

 

ジュネーブ・インターナショナルのセントラル・イデアの分析に行く前に、他の(どこぞの・・・といっても国内ではありません)のインターナショナルスクールのセントラル・イデアを見てみましょう。「比較」という方法は、「分析」の第一歩でもありますので。

 その、どこぞのインターナショナルスクールの、二年生の、教科の枠を超えたテーマ「How the world works」のセントラル・イデアが、これです。

 

「Observing and experimenting allows understanding of the conservation and physical properties of matter.」。なんか訳しづらい文章ですな。「観察と実験は、事物の保護とその物質的な性質との理解を可能にする」とでも訳しましょうか。

 

 さあ、どうですか。このセントラル・イデアは、普遍的なものでしょうか、それとも、特定の教科やトピックに偏したものでしょうか。

 「Observing and experimenting」は、概念というよりも、こりゃ、「スキル」や「方法」ですな。また、「understanding of the conservation and physical properties of matter」も、物理学の方向に振りすぎているため、「教科の枠」超えたものとは言えませんぞ。これは、理科という教科の枠内の知識ですぞ。したがって、このセントラル・イデアは、「自然科学の方法」と「物性」や「保存」という自然科学内の知識や効果に「特殊化」されすぎていますぞ。そのため、「普遍的な知識」にはなりえてはおりません。

 

さて、いよいよジュネーブ・インターナショナルスクールの等教育プログラム(PYP)の「PROGRAMME OF INQUIRY」(探求のプログラム)のセントラル・イデアの分析といきましょう。

。次の表は7歳から8歳(日本の2年生に相当)の「PROGRAMME OF INQUIRY」(探求のプログラム)です。

 

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 では、教科の枠を超えたテーマの「How the world works」のCentral ideaである「Humans use their understanding to serve a variety of purpose.」の構造を見てみましょう。

 

 このCentral ideaは、「人間は~~」という全称命題で作られている。つまり、大変普遍性の高い命題ですぞ。次に「their understanding」や「a variety of purposes」も、個別的なものや特殊的なものを表してはおりませんぞ。その意味で、「全称的」であり、普遍的です。この点で、この命題は普遍的であり、理念的です。

 しかも、さらに、「understanding」や「purpose」自体がまた、「根本的概念」の意味で用いられる「範疇」のようなもんですので、もうこれは大変普遍的で根本的な概念です。大したもんですな。

 

 こうしたセントラル・イデアを用いて、かなり高い教科的な知識を動員したり、学んだりしながら、文字通り、「教科の枠を超えたテーマ」を考えているんですぞ。これが、ディプロマ・プログラムの学びに発展していくんですな。そうしたらもう、すごいことになってしまうんです。それが、ジュネーブ・インターナショナルスクールのすごさにつながっているんです。

 

 で、「私たち」開智望小学校ですが、世界一のジュネーブ・インターナショナルから学びつつ、いつか追い越してやろうと、抱負を高々と掲げて、踏ん張っています。